セックス体験談|恋人がいる寂しさ#6「ずるい女」

隔たりセックスコラム:恋人がいる寂しさ#6「ずるい女」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。


「恋人がいる寂しさ#1#2#3#4#5

 改札から出てくる人たちは、これからどこへ向かうのだろう。

 スーツを着たあのサラリーマンは営業帰りで今から会社に戻るのだろうか。大学生と思われる集団は、これから飲み会なのかもしれない。ギャバ嬢のような綺麗な格好をしたお姉さんは、これからお金持ちと食事にでもいくのだろうか。

 楽しそうな表情か、疲れたような表情。新宿の東口改札から出てくる人たちの表情は、みな、そのどちらかだ。顔の造りは全く違うのに、その表情から伝わるイメージは同じで、少しおかしな気持ちになる。

 ふっと、笑みがこぼれてしまった。

 周りから見たら、僕は楽しげな表情をしているのかもしれない。客観的にそう思うと気持ち悪さがこみ上げてきて、急いで表情を引き締める。

 だが、この後のことを思うと、再び頬が緩んでしまう。今日の仕事は、この後の予定のおかげで、乗り切ることができた。楽しみな予定があるだけで嫌な仕事に取り組むことができる。僕はなんて単純なのだろうか。

 今日はどこまで出来るのだろう。

 どういう作戦で攻めようか。

 最後まで行けなかったとしても、その途中までですら楽しい。仕事よりも、断然楽しい。もちろん最後まで行きたいが、それは望み過ぎているような気もする。望みすぎるとその過程が楽しめない。だから、ちゃんと過程を味わいながら…。

 

「…くん? 隔たりくん?」

 

 思考を現実に戻し、声の方を向くと詩織がいた。今日の彼女は白のモフモフとした大きめなサイズのニットに、スキニージーンズを履いていた。ジーンズはぴったりとしていて、足の細さと長さが浮かび上がっている。自分の武器をわかっているのだろう。今日も詩織は、相変わらず可愛かった。

 

「何か考え事してた?」

「え」

「最初呼んだ時、反応しなかったから」

「ごめんごめん。ぼーっとしてたわ」

 

 詩織との情事を妄想していたとは、恥ずかしくて言えない。

 

「あれ? 今日も私服だけど休み?」

「うん、休み。シフト制なの」

 

 週休二日と考えると、詩織の直近3回の休日は全て僕に会ってくれたことになる。彼氏とはデートしているのだろうか、と気になったが、聞くのはやめておこう。

 

「そっか。今日も休みの中ありがとうね」

「ううん。全然大丈夫」

「じゃあ、そしたら行こうか」

 

 僕らは階段を登り、外へ出た。時刻は18時を回ったところで、まだ若干明るさが残っている。が、夜はちゃんと少しづつ近づいている。

 

 人波をかき分け、新宿歌舞伎町へと入っていく。そして当たり前のように奥へと進み、ラブホ街へと入った。もう、詩織は何も言わない。

 少し安めのホテルに入り、受付で会計を済まして鍵を受け取りエレベーターに乗る。詩織も慣れたように僕についてくる。まるで行きつけのバーに向かうような安心感だ。緊張感は全くこみ上げてこない。反対に、期待はどんどん膨らんでしまう。

 

 鍵を差し、ドアノブを回して部屋の中に入った。詩織と1回目に入ったホテルよりかは綺麗だが、2回目の泊まりで入ったホテルと比べると古さは感じる。さすがに2回連続であの値段のホテルに入るのは気が引けた。ラブホテルのお金は全て僕が払っている。

 

「また来ちゃった」

 

 駅から一言も発しなかった詩織がやっと口を開いた。その表情は呆れたようにも嬉しいようにも取れる。

 

「来ちゃったね」

「隔たりくんって本当にホテルが好きだね」

 

 今日は会う前の時点で、詩織に「ホテルに行きたい」と告げていた。詩織からは「えー」という返信が来たが、否定はされていなかったので念押しすると、最終的には「いいよ」と了承してくれた。

 

「うん。詩織とホテルで過ごすの、楽しいから」

 

 詩織がベッドに腰掛けたので、僕もその横に座る。

 

「詩織は、楽しい?」

「ん?」

「俺とホテルで過ごすこと」

「…ずるい」

 

 詩織はよく「ずるい」と言う。わかっているのにわざわざ聞いてくるなんてずるい、という意味なのだろうが、僕にはその「ずるい」がずるいと思った。「ずるい」という言葉は、裏を返せば肯定である。つまり、詩織は僕とホテルで過ごすのが楽しいから、「ずるい」と言う。

 「楽しい」ではなく、「ずるい」と答える詩織。「ずるい」と言われてしまったら、「楽しい」と答えられるよりも興奮してしまうではないか。詩織の「ずるい」に誘われるように、僕の顔は詩織に近づいて行く。僕をこういう気持ちにさせる、その言い方が、ずるい。

 

 唇が重なると、自然に舌も絡まり合う。もうそこにはぎこちさのかけらもない。お互いの動きを把握するかのように、隙間なく、無駄なことなくキスが進んでいく。それほど、僕らはたくさんキスをしてきたということだ。

セックス体験談|恋人がいる寂しさ#6「ずるい女」の画像1
※イメージ画像:Getty Imagesより

「詩織」

「ん」

 

 唇を離し、名前を呼ぶ。名残惜しそうに僕の唇を見つめる詩織の目は、トロンとしていた。

 

「キス、好き?」

「…ずるい」

 

 キスをすると、詩織が激しく舌を動かしてきた。もう止まれない。僕は服の上から、詩織の胸を揉んだ。

 

 詩織の呼吸が荒くなる。僕は再び唇を離す。

 

「胸触られるの、好き?」

「…ずるい」

 

 胸を触りながら、もう片方の手で詩織の手をとり、大きくなった股間に触れさせる。

 

「ここを触るのも好きだよね?」

「ん…ずるい」

 

 拗ねた詩織の表情が可愛らしい。愛おしさが爆発しそうになる。もっともっと「ずるい」と言って欲しい。それで僕のことを、もっともっと興奮させて欲しい。

 

「舐めるのも、好きでしょ?」

「もう…ほんとに、ずるい」

 

 キスをすると、詩織はすぐに口を開け、舌を入れてきた。

 

 激しく舌を絡ませたまま、僕は詩織の服を脱がしていく。そして、僕も服を脱いだ。脱ぐときに唇が離れ、脱ぎ終わればまたくっつき、そしてまた服を脱ぎ、僕らは互いに下着だけになった。

 

「…キレイだね」

 

 僕は詩織をベッドに押し倒す。細くて真っ白な美しい体に、淡い黄色のブラ。僕は詩織の体を慈しむように、首筋、鎖骨へとキスを落としていく。そしてブラの上から胸を揉みながら、親指だけを中に忍び込ませた。柔らかな膨らみに触れた瞬間、熱い体温を感じた。そしてその先に進み、硬くなった乳首に触れる。

 

「あんっ」

 

 乳首に触れながら、キスを落としていく。唇が谷間に触れると、胸の膨らみが頬に当たった。乳首を触るのをやめ、僕はその手でブラの紐を肩から外した。すると、目の前に片方の胸があらわになった。詩織は嫌がるそぶりも、隠そうともしない。僕は詩織の胸を口いっぱいに含んだ。

 

「はあぁあぁん」

 

 そう詩織が喘ぐ。胸にむしゃぶりついていると、詩織の体はムズムズと動き始めた。近づいている。セックスへの没頭に近づいている。僕は詩織の背中に手を回し、ブラのホックを外した。

 そして、胸をしゃぶりながらブラを剥ぎ取る。詩織は感じていて、「ずるい」も何も言わない。僕は両方の胸を交互にむしゃぶりつく。

 

 すると、詩織は感じながら、僕の股間を自ら触り始めた。触れられた瞬間、嬉しさが込み上げてくる。僕は急いで下着を脱いで裸になった。そして詩織にキスをし、胸を揉む。詩織はむき出しになった僕のモノをしっかりと握り、自らの呼吸の乱れと同じくらいのスピードで、扱き始めた。

 今、詩織と同時に、互いを気持ち良くし合っている。ならば、と僕は希望を込めて、手を下半身に伸ばした。一度も触ることのできなかった、詩織のアソコ。詩織は今、キスに没頭している。モノをシゴいている。僕も詩織にもっと気持ち良くなって欲しい。もっと一緒に気持ち良くなりたい。

 手が詩織の太ももに触れてしまい、一瞬、詩織の足が閉じるような動きを見せたが、完全に閉じてはいない。僕はゆっくりと人差し指を伸ばして、下着に触れた。

 触れた。

 触れることができた。

 詩織はいつものように足を閉じなかった。指先に熱と水分を感じる。初めて「濡れている」と感じることができた。詩織のアソコは下着がぐっしょりとなるほど濡れていた。

 

「詩織」

「ん?」

 

 僕は唇を離し、聞いた。

 

「なんで濡れてるの?」

「…ずるい」

 

 ずるいのは今まで拒んでいたのにこんなに濡れている詩織の方だ。僕は詩織の下着をずらし、直接アソコに触る。

 

「いやぁっ」

 

 いや、と言っても、詩織は軽く足を閉じただけで、僕の手を引き剥がそうとはしない。アソコはグチョグチョに濡れている。僕はその泉をかき分け、一番敏感な部分、クリトリスに触れた。

 

「いやぁ…ああん」

 

 クリトリスに触れると、明らかに詩織の反応が変わった。初めて見る反応に興奮が高まってくる。詩織が逃げないようにとキスをし、僕はクリトリスをいじり続けた。詩織の呼吸はさらに激しくなり、そして僕のモノをシゴく手のスピードも早くなっていく。興奮が止まらない。脳の血管が全て弾き飛びそうだ。

 そして、欲望が脳内を駆け巡る。挿れたい挿れたい挿れたい、と。

 

「ちょ、ちょっと、ストップ」

 

 詩織が唇を離し、クリを触っている僕の手を抑えてきた。え、と思わず声が漏れる。既視感。前にも、いや、いつもこうだ。あともう少しなのに。

 

「…大丈夫?」

 

 それでも自分の欲望を抑え込み、紳士的な態度をとってしまう自分が、嫌いだ。

 

「ちょっと…おかしくなりそうで、怖くて」

 

 どうやら詩織はイキそうだったらしい。そしてその反応から察するに、今まで1度もイったことがないのかもしれない。

 じゃあ、僕はどうすればいいのだろう。怖い、という詩織を押し切って、自分の欲望を満たすべきか? それともまた紳士ぶって次回に伸ばすか?

 そもそも、僕はなぜ、詩織とセックスしたいと思っているのだろうか。

 

「だから、舐める」

 

 えっ、と、この雰囲気に似つかわしくない間抜けな声が僕の口から漏れた。

 

「硬くなってるし…舐めた方がいいよね?」

「う、うん、そうだね。お願い」

 

 まさか詩織が自ら「舐める」ということを想像してなくて、喜びと驚きが混じり、変なリアクションをしてしまう。

 僕がベッドに寝ると、詩織は僕の足の間に入って、モノをしゃぶり始めた。初めから激しい。詩織も興奮しているのだろうか。そういえば、今まで3回詩織とホテルに来たが、フェラは毎回してくれていたとを思い出す。

 詩織は奥までモノを咥えたり、咥えながら舌を動かしたり、ジュボジュボと吸い付いてくれたりと、激しく攻めてくる。ものすごく気持ち良い。初めて詩織にフェラをしてもらった時よりも、上手になっているように感じた。詩織はフェラが好きなのだろうか。

 

「めっちゃ気持ち良い」

「ほんと?」

「うん。こないだよりも気持ちいんだけど、勉強とかした?」

 

 うん、と頷き、詩織はまたモノをしゃぶり始める。

 

「彼氏には、これした?」

 

 モノを咥えながら、首を横にふる。

 

「彼氏のために勉強したんじゃないの?」

 

 詩織の動きが止まる。モノは口から離さずに。

 

「ということは、俺にするため?」

 

 詩織がモノを口から離した。「ずるい」と言われると思った。

 だが、詩織は上目遣いでこちらを見つめ、優しく頷いた。

 

「うん」

 

 詩織は再びモノを咥え、勉強したというフェラをしてくれた。

 快感が広がると同時に喜びも広がっていく。僕は自分の手で両目を覆った。ダメだ。欲望を抑えきれそうにない。挿れたい。詩織と繋がりたい。なぜ詩織とセックスしたいと思っているのかわからないが、理由なんてどうでもいい。今、詩織の中に入れたいと思っている。これは確かだ。

 

「詩織」

「えっ」

 

 僕が突然起き上がったので、詩織は驚いていた。その唇にキスをする。そして体勢を変えて詩織を押し倒し、そして下着を脱がした。詩織は裸になった。

 

「ちょ、ちょっと」

 

 可愛い顔に、スラッとした細長い体と真っ白な肌。彫刻のように美しい体が、今、むき出しなってベッドに在る。

 

「詩織」

 

 僕は詩織の両膝に優しく手を置いた。急な展開に、詩織の足は固く閉じられてる。

 ここを開いた先に、僕が今、望んでいる場所がある。

 

「挿れたい」

 

 詩織の閉じられた足を開かせようと、少し手に力を入れる。

 

「詩織と繋がりたい」

 

 初めて詩織を見たときから、なぜか気になって仕方なかった。久しぶりに会ってホテルに行けたときは嬉しかった。挿入までは行かなくても、詩織と何度もキスができたのは幸せだった。

 詩織には彼氏がいる。そして僕にも彼女がいる。お互い恋人を持つ同士、その壁を越えることはなかなかできない。多分僕らはちゃんと、恋人のことを想っている。想っているからこそ、恋人と別れて付き合おうよ、という言葉が出てこない。

 でも、恋人を想っているからこそ、寂しいのだ。恋人と上手くいかないから寂しくて、その寂しさを恋人に気付いて欲しくて、僕らは恋人ではない異性の温もりを求めてしまっている。

 詩織にとってたまたまその相手が僕だっただけだ。そして、僕にとってその相手が詩織だっただけに過ぎない。

 しかし、寂しさを分かり合える存在が与えてくれるのは安心だけで、一緒にいることで、体を触れ合うことで寂しさが薄まるわけではない。むしろ、一緒にいればいるほど、寂しさが色濃くなってしまっていた。

 詩織と触れ合ってから、僕はさらに愛というものに執着してしまった。だから、形だけでもいからと、「挿れたい」と思ってしまっているのかもしれない。

 愛に執着しているから、恋人ではない異性と繋がりたい。そんな矛盾した論理の中に、僕らはいる。

 

「詩織」

 

 僕は恋人ではない、女の名を呼んだ。

 

「挿れていい?」

 

 挿入しないと、僕らは一生、寂しさという沼に溺れたままだ。

 

「…うん」

 

 詩織が小さな声でそう呟いた。その声は諦めとも、覚悟とも取れた。

 

「優しく…お願い」

 

 頑なに閉じられていたガラス細工のように細く美しい脚が、ついに開いた。

 

「いいんだよね?」

 

 長い黒髪が無造作にベッドに広がっている。

 

「うん」

 

 バレリーナのようなすらっとした腕を曲げ、詩織は眠るように顔を隠す。

 

「わかった」

 

 安っぽい電球によって照らされたベッドの上。日焼けなど一度もしたことがなさそうな真っ白な肌をした詩織が、脚を開いて静止している。

 

「早く」

 

 詩織に促され、僕は慌ててラブホテル特有の照明パネルの横に置いておいたコンドームを手に取る。

 

「ちょっと待ってね」

 

 僕は急いで封を切り、コンドームをモノにかぶせた。

 

「早く」

 

 詩織は微動だにしないまま声を出す。僕は広げられた脚の間に入り、その中心部分にコンドームをかぶせたばかりのモノを当てた。

 

「じゃあ、挿れるよ」

 

 詩織が腕で顔を隠したまま、コクリと頷く。なぜ顔を隠しているのか。眩しいからか、僕の顔を見たくないからか、わからない。

 モノの先端が詩織のアソコの中に入る。

 

「んっ」

 

 詩織の体が一瞬震えた。腕、胸、くびれ、脚。何度見ても飽きない、曲線が美しいすらっとした体。

 

「奥までいくね」

 

 モノをゆっくりと侵入させていく。コンドームを突き破ってしまいそうなほどパンパンに膨らんだモノが、詩織の細い体に飲み込まれていく。

 詩織の中はものすごくキツかった。それはモノを拒むようにも思えたし、むしろモノを離したくないからとも、どちらとも取れた。

 モノが少しづつ奥へと進んでいくたびに、詩織の腰が浮く。挿れやすいように調整してくれているのか、感じているからか、それとも無意識なのかはわからない。ただ、そのおかげで奥に進みやすくなったのは確かだ。僕は詩織の腰を持ち、キツキツの詩織の中の奥へと、モノを進めていく。

 あともうすぐで最奥にたどり着く。そのとき詩織が両手で僕の体を抑えてきた。

 詩織の顔が照明に照らされる。女優の桐谷美玲ようなリス系の可愛らしい顔立ち。そうだ、この顔を見て、可愛いと思って、僕は声をかけたんだ。

 アソコの中でモノがさらに大きくなる。

 

「あんっ」

 

 この子と仲良くなりたい。あのとき想像していた以上のことが今、起ころうとしている。

 

「詩織」

 

 モノが奥深くにたどり着いたとき、僕は詩織の顔を見た。

 詩織は目をつぶり、歯を食いしばり、何かを堪えている。可愛い顔が歪んでいた。感じているのか、それとも泣いているのか。判断がつかないまま、僕は静かに腰を振り始める。

 

「ううぅ…」

 

 詩織と今、繋がっている。

 

「ああぁううぅ…」

 

 念願の挿入ができている。

 

「むりぃぃい…」

 

 腰を振るたびに、詩織のアソコが力強く僕を捕まえる。その締まりが強過ぎて、痛みに近い快楽が僕を襲う。

 ただ、気持ち良い。痛くたって、モノがアソコに入っているのは気持ち良い。

 

「詩織」

 

 僕がそう呼ぶも、詩織は手で顔を隠したままだった。僕の目に見える詩織の姿は美しくも、決して快楽に没頭しているようには見えない。しかし、詩織の腰はヒクヒクと動き、僕のモノを締め付けてくる。

 互いに上半身と下半身が分離しているようだ。詩織の上半身は何かから逃げるような、堪えるような姿を見せている。そして僕の上半身はそんな詩織を見て、微かな不安を覚えている。

 それでも、互いの下半身は結合し、擦り合い、刺激を送り合っている。ヒクヒクと動く詩織の腰、無意識にピストン運動をする僕の腰、ぶつかり合った性器が奏でるクチュクチュとした卑猥な音。

 

「詩織…」

 

 僕はどうすればいいのだろうか。望んでいた挿入ができたはずなのに、喜んでいるのは下半身だけで、思考は「これで良かったのだろうか」という疑念でぐるぐるしたままだ。

 でも、もう後には戻れない。寂しさと快楽と不安が混じり合いながら、最後まで駆け抜けることしかできない。

 もうセックスに没頭するしかない。ヒクヒクと動く詩織の腰を持って、腰を振ろうとした、その時だった。

 詩織が声を上げた。その声は、快楽が絶頂に達した喘ぎ声にも、悲痛な叫び声にも聞こえた。

 その声を聞いて、僕は詩織の腰から手を離した。詩織のアソコからモノが抜けそうになったが、かろうじて先端だけ、亀頭の部分だけが入っている。まるで、アニメのキャラクターが崖に落ちそうになったときに、かろうじて片手が引っかかった時のように。

 終わりが、近づいている。

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(文=隔たり)

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