ほわわぁん
リンスのほのかな匂いがするだけで、嫌な感じはしなかった。
そこで、大げさに深呼吸して「こっちもお前の匂いを嗅いでいるぜ」とアピールしてみた。
「や、そんなにクンクンしないで」
筆者から逃れようとしてナツキちゃんが抱擁を解いた。
はい、勝ったぁ!!
こちらが勝手に始めた根競べだったが、勝利したことで嬉しくなってしまった。
ヨシっ! このまま勢いまかせでヤルっきゃない!
両手で彼女の頭部を固定して、キスをする。
「あぁぁぁぁッ!」
すぐにアヘ声をあげ始めるナツキちゃん。もっと時間をかけてディープキスに移行するつもりだったが、彼女の唇がパカっと開いたので応じるしかない。
舌を挿し入れると、すぐに向こうも舌を伸ばしてきた。
ヌメヌメ、くぴぶチュるりゅん
互いの唾液を絡めあいながら、ふたりして激しく舌を動かす。
相手に主導権を渡してなるものかと言わんばかりの攻防だ。
クックックック! コイツ、よっぽど飢えてたんか?
その貪欲なまでの求めっぷりに、嬉しくなってしまった。
はっ! そういえば…
ここで不安になってしまった。いくらベッドイン直前に歯磨きしたとはいえ、こうも激しいディープキスをしたら彼女にニコチン臭を感じさせてしまうのでは?
そこで、思い切って尋ねてみることにした。
「ゴメンね。煙草臭くないかな?」
「だ、大丈夫です。私もアイコスを吸ってるので」
「そうなんだ。でも、ナツキちゃんの唾液は全然煙草臭くないよ」
「しょ、ショーイチさんも全然臭くないです」
キュウウウン!
またしても胸キュンしてしまった。匂いで発情するという原始的な感情を、ふたりで共有できたような気分だ。