「じゃ、俺は一服してるから先にシャワー浴びてきなよ」
いつもなら部屋に入ってからの会話に力を入れるのが筆者の流儀だ。しかし、この時はどうしてもその気になれなかった。
明るい室内でナツキちゃんと対峙すると、どうしても心が挫けそうになる。
そこで、煙草で気分転換しようとしたのだ。
しかし、今回使っているのは激安ラブホ。脱衣所なんてしゃれたものはないので、室内で服を脱ぐしかない。
しばらく迷っていたナツキちゃんだったが、こちらが彼女に背を向けて煙草を吸い始めたので覚悟を決めたようだ。
スルスルスルと衣擦れの音が聞こえる。これが可愛いコの立てる音だったら勃起もんだが、愚息はずっと大人しいままだった。
ナツキちゃんが浴室に入ってしばらくしてから、煙草をもみ消し服を脱ぎ始める筆者。一度全裸となってから、バスタオルを腰に巻く。
時間節約のため、彼女が出てきたと同時にシャワーを浴びるためだ。
その後、入れ替わりで浴室に入る。
シーン
節操のない愚息がピクリとも反応しない。チンコを洗う刺激で、いつもならギンギンに勃起するところなのに!!
も、もしかしてヤバいんじゃネ?
久しぶりに焦り始める。このまま勃起しなかったら、ホテル代をドブに捨てたようなものだ。
しかし、考え過ぎるのは逆効果。体を洗いながら深呼吸を繰り返し、平常心を保つことに集中する。
部屋に戻り、手洗いと歯磨きを終えてから室内の照明を暗くする。
「じゃ、始めようか?」
そう声をかけ、ナツキちゃんがスタンバっているベッドに入る。
ギュムっ!
キスしようと顔を近づけると、突然ナツキちゃんが下から抱きついてきた。
「え? ど、どうしたの?」
「ごめんなさい。しばらくこうさせてください」
この土壇場になって気が変わったのか? ま、それなら仕方あるまい。
これが可愛いコだったら、あの手この手でご機嫌を伺い意地でもセックスに持ち込んでいただろう。
だが、筆者の愚息になんの影響も与えないナツキちゃんだったので、こちらは極めて冷静だった。
スーハー、スーハー
こちらの胸に顔を埋め、何度も深呼吸しているナツキちゃん。
話しかけるのも面倒なので、そのまま彼女の好きにさせることにした。
そして、数分後。恥ずかしそうにしながらナツキちゃんが告げてきた。