「あのぉ…」
「ん? どうしたの?」
「ショーイチさんってタバコを吸う人ですか?」
「吸うけど、どうして?」
「わ、私も吸う人なんですけど…」
「それは良かった! それじゃあ、一服しながらお茶を飲もうよ」
「あ、ありがとうございます」
「いやぁ、感謝するのは俺のほうだよ。俺も一服したかったからさ」
普段、タバコを吸わない女性の前では遠慮しているが、相手も喫煙者となれば話は別。上着のポケットからタバコとライターを取り出し、お茶を飲みながら一服することになった。
その時、イズミちゃんがバッグから取り出したタバコのパッケージを見て驚いた。筆者と同じ銘柄だったのだ!!
「同じタバコ吸ってるんだね」
「あっ、本当ですね」
「珍しいね。女性でこのタバコを吸うなんて」
「ですよね。オヤジ臭いってよく言われます」
「俺はずっとこれだから慣れてるけど、キツくないの?」
「以前はもっとキツいのを吸ってたんです。だから、これくらいなら平気です」
「へぇ。メンソール系は吸わないの?」
「えっ?」
「ほら、女性ってよくメンスソールのタバコを吸ってるでしょ?」
「私はダメですね。あのスースーした感じが好きになれなくて…」
「俺も同じだよ。タバコを吸ってる気分になれないんだよね」
同じ銘柄のタバコを吸っているという共通点で、ふたりの距離が一気に縮まったような気がした。
それにしても、実にタバコがよく似合う女性だ。
けだるい感じで煙を吐き出す姿が色っぽくて、ついつい目が追ってしまう。
「それにしても信じられないなぁ」
「何がですか?」
「もし俺の奥さんがこんなに綺麗でセクシーだったら、毎日のようにエッチしてると思うよ」
「フフフ。ありがとうございます」
「旦那さんとは全然してないの?」
「そうですねぇ。半年くらい前にしたのが最後ですね」
「そんなに前なんだ? よほど旦那さんが年上だとか?」
「い、いいえ。同じ歳なんですけど…」
「そうなの? それならまだまだやりたい盛りなんじゃないの?」
「それが仕事ばっかりで、家に帰ってきても食事してすぐ寝ちゃうんです」
「そうなんだぁ。それはちょっと寂しいね」
「はい」
「それで、セフレで穴を埋めてたって感じなの?」
「まぁ、そうですね」
「もしよかったら、セフレとの関係が終わった理由を聞かせてほしいな」
「すごくシンプルですよ。向こうが結婚することになって…」
「なるほどね。それで、この3カ月セックスレスだったんだ」
「はい。それで、ああいうサイトを使ってみようかなって思って」
「そうなんだぁ。それじゃあ、今日の俺は責任重大だね」
「そんな、責任とか思わないでくださいよぉ」
「いやいや、思っちゃうよ。満足してもらえるように全力で頑張るね」
「フフフ、全力ですか? 楽しみです」