フィリピーナのつぶやき

フィリピン娘にとって便利な言葉「分からない(アイ・ワンコ)」

idontknow0422.jpg※イメージ画像 photo by itskala from flickr

【フィリピン在住ジャパニーズ・ことぶき太郎が、魅力的なフィリピン娘の生態に迫る】

 「アイ・ワンコ」というのは、(わたし知らない、わたし分からない)という意味だ。だが、ひと言付け加えて、「アイ・ワンコ・サ・イヨ」となると、(あんたのことなんか関係ないよ!)ときつい意味になる。状況によっては、(あんたなんかどうでもいいよ!)というようなニュアンスとなる。喧嘩の始まりといっていいかもしれない。小さくつぶやくように言われて席を立たれたら、もうその場はおしまい。時と場所を変えたほうがいい。

 定年退職をしてフィリピン在住4年目の、一人住まいの日本おやじがいた。日本で何をしていたかは知らない。もっともそんなことを自慢する奴に大した奴はいないのだが…。

 このおやじさん、にこやかで腰の低い人当たりの悪くない人物である。退職者同士の交流サークルにも参加し、ゴルフと卓球に明け暮れている。なぜか退職者ホームや退職者ビレッジを好まず、普通のビレッジに住んでいる。

 多少のタガログ語を理解しているので、買い物程度には困らない。メイドを一人雇っている。当然のごとくセックス付きであるが、日本人的常識を備えていて、メイドとの関係のような話が出てくると、笑ってごまかし多くを語らない。まあ、普通にいいおじさんである。

 このメイドも少し日本語がわかり、見た目には仲良く、しっかりと仕事をこなしている。言葉遣いも丁寧のようだ。

「アイ・ワンコ・ポ」と、よくいう。

 “ポ”とつくと、目上の人や親に対して使う尊敬語になる。(分かりません、知りません)というように丁寧でやさしくなる。

 このおやじさんもそれを知っているので、知らないと言われてもそれで満足してしまう。メイドのほうは、それでサボれるからよくポを使い、艶のある微笑を浮かべればいい。

 ある時、このメイドとモールで出会ったことがある。買い物かなと思ったら、休みだという。連れのフィリピン人男性をボーイフレンドだと紹介されてしまった。ご馳走するというので、コーヒー店に入って一服することにした。

「○○さん元気?」と聞くと、

「夜は元気だよ」という。

 次の言葉が出ず、思わず隣にいるボーイフレンドだという男の顔を見てしまった。笑っている。メイドも笑い出した。

「この人みんな知ってるよ。知らないのはあの馬鹿な人だけ」ときた。

 丁寧な言葉を使ってやさしくしていれば、何でも馬鹿な人がやってくれるんだ。分からないといえば教えてくれるし、料理も掃除もしてくれるんだという。あきれてしまった。

「アイ・ワンコ・ポ」は、メイドにとってとても便利な言葉だったのだ。

 彼女いわく「やさしく寄り添ってやり、夜はおちんちんを舐めてあげれば、喜んでいる。昼間だって、週4日はゴルフと卓球に出かけてるから、テレビ見てるだけ。いい仕事でしょ」

…いい仕事かどうかは、アイ・ワンコと言うしかない。

 同じ日本人の俺に、そんな話をしなくてもいいと思うが、あの好々爺のおじさんに告げ口をする気にもなれない。ひょっとしたら、あのおじさんは知っていて雇っているのかもしれない。ピーナと付き合うすべを知っているのかも…。

 逆に「アイ・ワンコ・サ・イヨ!」ときつく言われている日本人がいる。

 まだ30代だ。小さな子供が二人いる。この人は日本で稼いで金を貯め、日本で知り合ったピーナと結婚してフィリピンに来た。どのぐらいの蓄えがあるか知らないが、仕事はしていない。

 あまり人付き合いのいいほうではなく、スポーツやゴルフをやるでもなく過ごしている。会えば世間話をする程度であるが、ピーナ妻は明るくおしゃべりをする。男好きのする体型と顔立ちだ。

 行動的で社交家のピーナ妻と、独自の道を歩む日本人夫のカップルだ。決して浪費家ではなく、メイドもボーイも雇わず、日本人とも交際せずにのんびりと暮らすのも、これまたいいものかもしれない。

 だが、ピーナ妻には物足りないようでもある。ちょっとした用事があり家を訪ねたとき、口論をしていた。口論というより、妻の一方的口撃といったほうが適切かもしれない。

 のんびり屋の夫が何か言うと、「アイ・ワンコ・サ・イヨ!」だ。

 フィリピン人は、喧嘩を恥ずかしいと思わないところがある。それどころか、他人に見せて自分の主張が正しいことを認めてもらいたいのか、激しくなったりする。

 どうも、ピーナ妻はのんびりした生活に、嫌気が差してきていたようだ。まだ30歳前だ。日本へまた行きたいらしい。タレントとして、日本の店へ戻ることを考えている。

 夫のほうは、まだ金銭的余裕があるようで必要がないという。妻にとっては金が目的ではないのだ。覚えてしまった日本の味が、恋しいのだ。当然、口論は平行線。

「アイ・ワンコ・サ・イヨ!」が出てきては、覆すことは困難だ。

 2カ月後、ピーナ妻は一人で日本へ旅立った。残された夫は、子どもの世話に追われているが、それでも結構楽しくやっているようではある。

 この日本人も好々爺のおじさんも、日本でのしがらみから離れ、フィリピンになじんで、フィリピン人に慣れて溶け込んでいるのであろう。セックスライフが問題ではない。個人の精神的なものだろう。もちろん、セックスライフも楽しんではいるのであろうが…。

 ゴルフ好きにはゴルフ天国。ダイビング好きにはダイビング天国。女好きにはセックス天国。というのがこの国である。金をかけてもかけなくても、身近で手に入る。日本の常識を忘れ、フィリピンの常識を受け入れ、ストレートに表現できるようになれば、楽しく過ごせること請け合いである。

 身体を動かして発散させた後に、明るく陽気で激しいセックスは、心身ともに癒してくれる。じめじめとした嫌らしさも、後腐れもない。それを好む御仁もいるかもしれないが、この国では、単純で自然な言動が好まれる。
(文=ことぶき太郎)

■ことぶき太郎(ことぶき・たろう)
フィリピン在住、“ピノイタロウ”と呼ばれて10年以上(ピノイ=フィリピン人の意)。心身ともに癒してくれるその魅力を、日本のオンナと比較しながら書き綴る、自称「快感体験観察エロ作家」。弱り始めた腰に鞭打ち、いまでもピーナのいろんなところを観察し、食している。

【フィリピーナのつぶやき】バックナンバー
第1回私、おいしいよ!…甘い肉体に惑わされ殺される日本男性
第2回お前の母ちゃんは売春婦!

 
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