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【アイドル音楽評~私を生まれ変わらせてくれるアイドルを求めて~ 第30回】

ヘタウマラップがクセになる「清純派ヒップホップアイドル」tengal6


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※画像はTengal6『まちがう』より

 tengal6ほど明快にして奇妙なコンセプトのアイドルはそういない。根本的にアイドルなのかという疑問もあるのだが、タワーレコード新宿店の企画「NO MUSIC, NO IDOL?」のポスターにも登場しているのでアイドルとして扱って問題ないだろう。

 tengal6という名称から分かるように6人組......というのはいいとして、注目が集まるのはスポンサーがTENGAだという事実だろう。「ドスケベな歌詞をラップするの?」と興奮する読者諸兄も多いかもしれない。しかし、tengal6はあくまで「清純派ヒップホップアイドルユニット」であり、ステージにセクシャルな匂いはほとんどない。むしろ、見るたびにタイツをはいているメンバーの数の増減に一喜一憂している状態だ。タイツは女性の心の壁なのである。多く対バンしているBiSは、物販で売り物でもないTENGAを無意味にテーブルに置いていたことがあったが、tengal6ではそういう光景すら見たこともない。

 そもそもtengal6は、美大生を中心とする集団・NEWTRALによってキムヤスヒロのプロデュースのもと2010年7月14日から募集を開始したユニットだ。そして募集から1年後に全国発売されたのがミニ・アルバム『まちがう』。とは言え、私がライヴで『まちがう』を買ったのは5月21日のことで、ライヴ会場での手売りから全国流通盤という流通形態にシフトしている。

 tengal6のコンセプトは、メンバーの募集時点で明快だ。「ポップなヒップホップのトラックに、ヘタウマな女の子のラップが乗ることによって、あどけないかわいさが生まれればと思っています」と記されており、身も蓋もない。しかし、2月にアップロードされた「ルービックキューブ」のビデオ・クリップはNEWTRALの圧倒的なセンスの良さを感じさせた。冒頭のごく短いドラマから始まり、メンバーが巨大なルービックキューブを塗装していく。このとき、メンバーのそれぞれの服は、ルービックキューブの各ブロックの色と対応している。そしてサビで6人が揃って踊る瞬間のカタルシス。

 「あどけないかわいさ」と謳われていたが、実際にはtengal6のayaka(彩夏)、mariko(工藤まり仔)、yumi(しみずゆみ)、erika(知名えりか)、ami(細越麻未)、mei(芽依)の個性はかなりバラバラだ。「HALCALIみたいなもの?」とよく言われるが、メンバー数が3倍ならば個性の違いもより濃くなってくる。ヴォーカル・スタイルひとつとっても、かわいく歌う子もいれば、ディーヴァ系の喉を聞かせる子もいる。そしてライヴでは、『まちがう』には収録されていない、ラッツ&スターの「め組のひと」やピンクレディーの「UFO」をサンプリングした楽曲も披露されている。ひとりの子がマイクを担当する間、他の5人が笑顔で輪になって踊る光景も至福。春夏秋冬を問わず、Tシャツとホットパンツ姿で居てほしいものだ(タイツは無しでお願いしたい)。気がつけば、私はtengal6の現場で「yumiさん好きです!」と言い続ける状態になっていた。yumiさん好きです。

 晴れて全国流通となった『まちがう』には前述の「ルービックキューブ」も収録。ソウル色の強いトラックに乗ってメンバーが自己紹介をする「tengal6」で幕を開け、エレクトロ色の強い「Photograph」、ミディアム・ナンバーの「Akikaze」、ちょっとした日常の憂鬱をラップするタイトル・ナンバー「まちがう」が並ぶ。さらに、最後に収録されている「ルービックキューブ~fragmentremix~」は、キーボードのソリッドな音色と激しさを増したリズムがかっこいい。YouTubeでこの楽曲のバックに使われている1枚の写真も非常にスタイリッシュだ。

 そんなわけで、最近の日本語のヒップホップでは、鬼『湊』、かせきさいだぁ『SOUND BURGER PLANET』、tengal6『まちがう』を並列に聞く、というよく分からない状態になっている。

 思い出すのは、以前信頼するヲタ仲間と大戸屋で食事中、私の目を睨みながら「BiSとtengal6は......サブカルが鼻につきますね!」と憎々しげに言い放たれたときだ。私は心臓のど真ん中を射抜かれた気がしたが、いやしかしそれは「鼻につく」と言われるほどコンセプトに強度があるからだ......と考えることにした。それは5月以降から続くtengal6とBiSとの対バンで確信に変わる。5月にtenga6がBiSとコラボレーションした「いんたああくしょん」はOTOTOYで無料ダウンロードが可能(http://ototoy.jp/feature/index.php/2011051100)なので聞いてほしい。また、tengal6の物販ではメンバーとのチェキが安い。アイドル現場の相場から見てかなりの良心価格なので、人気が出て値が上がる前に撮影をおすすめしたい。チェキで「yumiさん好きです!」と本人に言っている男がいたら、それが私だ。そっとしておいてほしい。

 さて、全国流通していないアイドルのCDはこの連載では紹介していないので、tengal6の『まちがう』も7月まで待つことになったが、最近は他にも、エレクトリックリボン「レプリカプリコ」、ちぇりぃ☆えんじぇる「ちぇりぃなキ・モ・チ☆」など、現場でしか買えない重要作品がある。同好の士はこれらもぜひチェックしてほしい。yumiさん好きです。

◆宗像明将
1972年生まれ。音楽評論家として、日本のロックやポップス、英米のポップス、ワールドミュージックを中心に執筆。その一方、2002年からソニンのヲタに。彼女の歌手活動停止後は、魂の救済を求めてPerfumeとtoutouのヲタになり地下へ。現在は地下から地上までのアイドル・シーンを見守る。http://www.outdex.net/diary/

『まちがう』


へたうまが心地いい

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