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【アイドル音楽評~私を生まれ変わらせてくれるアイドルを求めて~ 第19回】

右傾化する日本社会でK-POPはどう受容されていくか KARA『ガールズトーク』


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CD+DVD『ガールズトーク(初回盤A)』ユニバーサル シグマ

 K-POPとか興味ないんで。そう言い続けてすでに1年半ぐらい経った気がするのだが、告白しよう。嘘でした。あまりにも周囲のPerfumeヲタの仲間たちがK-POPへと流れていくので、ついそんな憎まれ口を......。ただ、話題になるK-POPはどうしてもR&B色が濃いイメージで、当初私の琴線に触れたのはキロッツ(kirots)の「恐怖の歯科」ぐらいだったというのも事実。彼女たちは、日本のアイドル文化の影響下にあるという点ではタイのNEKO JUMPと同様で、そのために友人から「ゲテモノにしか反応しない」と言われる苦汁まで舐めてきた。まぁ否定はしないが......。90年代のソテジワアイドゥル以来、ワールドミュージック文脈で興味を持てるアーティストがK-POPのメインストリームには見つからなかった、というのもある。

 そんな中でもKARAの『Honey』のポップさと華やかさは印象に残っていて、特に「Umbrella」での露出したお腹をさするというパフォーマンスは決定打になった。KARAというとヒップダンスが話題になるものの、あれは健康的すぎてドスケベ感がないわけで、「Umbrella」のあの予想もつかなかった振り付けのほうがはるかに衝撃的だったわけだ。

 ここまでがKARAの日本デビューまでの話。日本デビュー時には、高まる周囲の熱気はともかく、世間でどのぐらい人気が出るのかはさっぱり見当が付かなかった。ただ、高校生の女の子たちが学校でKARAを踊っている動画をYouTubeで見たときには何かが起こっている予感がして、結果的に日本でのデビュー・シングル「ミスター」(ユニバーサルミュージック)がオリコンの週間シングルランキングで初登場5位となり、ようやく鈍感な私にも状況が把握できた。日本海を越えて大波が来ている。

 そうこうしているうちに、Perfumeのあ~ちゃんは「KARAとはメル友です」と語り、11月17日に発売されたAira Mitsukiのニューアルバム『???』(デートピア)にはKARAを手掛けるHAN JAE-HOが楽曲提供をしている状況だ。KARAが歌番組やCMに出演しているのを見ていたら、11月29日には『関口宏の東京フレンドパーク2』(TBS系)で着ぐるみを着ていた。そこらの日本のアイドルよりメディアに露出している。

 だからKARAの日本でのアルバム『ガールズトーク』がオリコンの週間アルバムランキングで初登場2位になっても、それはもはや当然といった感すらある。ちょっと大味だがエレクトロで躍動的なサウンドに乗せてKARAが日本語で歌う『ガールズトーク』は、韓国語のまま収録されていた『KARA BEST 2007-2010』に比べると猥雑なエネルギーよりも趣味の良さが出ている印象だ。前述の「Umbrella」の日本語ヴァージョンも収録。「スウィート・デイズ」や「ビンクス」はメロディー・ラインがソウル的な高揚感をもたらす佳曲だ。タブラっぽい打楽器の音色が鳴る「バーン」のサウンド・プロダクションも心地いい。

 このアルバムが36分しかない、というのもLP世代の私には大きな加点ポイントだ。コンパクトに凝縮されたポップさを堪能できる。少女時代の「Gee」の日本語ヴァージョンを聴いたときのような「それはねぇだろ」感がKARAの日本語詞にはない、というのも重要だろう。

 前回の本連載では「少女時代やKARAがいきなり大ヒットを飛ばす状況に対して、メディアや人の『政治性』が字義通りの意味で露呈するのも面白いと言えば面白かった。アイドルの話なのにイデオロギーが出ちゃうとか大変ですねぇ」と書いたものだが、右傾化する日本社会でK-POPがどう受容されていくのかは注目に値する。このK-POPブームが一過性のものだという言説に対しては、KARAに関してはこの調子で日本で活動するなら人気が定着するだろうと異を唱えたくなるところ。結局、KARAのようなポジションのアイドルが日本にはいないのだ。

 以前『KARA BEST 2007-2010』を雑誌で評論した際には「国内で『アイドル戦国時代』とか言っているのも馬鹿馬鹿しくなるよね」と書いたのだが、いっそ東アジアごと見たほうが面白いのも確か。そもそも、1期メンバーに中国人姉妹がいる桜組なんて、桜組2期生によるストライキ事件が起きてるんだぜ? 桜組での「プラハの春」はかくも短くも美しく散ったんだぜ?(参照:http://ameblo.jp/sakurakunoiti/entry-10723935219.html)というわけで、アイドルぐらい党派性抜きで楽しむノンセクトとしては、「今、掻き回してくれるアイドル」を断固支持。KARAには引き続き日本のマーケットを荒らすぐらいの勢いでいてほしい。

KARA / ミスター(Short ver.)


◆宗像明将
1972年生まれ。音楽評論家として、日本のロックやポップス、英米のポップス、ワールドミュージックを中心に執筆。その一方、2002年からソニンのヲタに。彼女の歌手活動停止後は、魂の救済を求めてPerfumeとtoutouのヲタになり地下へ。現在は地下から地上までのアイドル・シーンを見守る。http://www.outdex.net/diary/

ガールズトーク(初回盤A)(DVD付)


お尻ダンスだけじゃないのだ

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