>   >   > 

【アイドル音楽評~私を生まれ変わらせてくれるアイドルを求めて~ 第18回】

これぞ鉄板! 完成度抜群、SKE48のアイドル×ソウル「1!2!3!4! ヨロシク!」


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【記事のキーワード】  ,  ,  ,  ,  ,  

ske1234.jpg
SKE48「1!2!3!4! ヨロシク!(typeA) 」日本クラウン

 大晦日の「第61回 NHK紅白歌合戦」の出場歌手が発表されてみると、アイドル戦国時代枠どころかK-POP枠すら存在しなかった。本連載でも「『アイドル戦国時代』はバズワード」と書いてきたので、新進勢は来年以降の活躍に期待すればいいとしても、K-POPが一組もいないのは私もちょっと驚いた。そういえば、少女時代やKARAがいきなり大ヒットを飛ばす状況に対して、メディアや人の「政治性」が字義通りの意味で露呈するのも面白いと言えば面白かった。アイドルの話なのにイデオロギーが出ちゃうとか大変ですねぇ。

 そんなわけで、「第61回 NHK紅白歌合戦」の出演者はアイドル的な観点から特に面白味はなく、トピックはAAAの初出演ぐらいだった。以前、新横浜駅でAAAの横浜アリーナライヴ帰りのファンの大群と鉢合わせたのだが、若者が男女問わずAAAのTシャツを着ており、電車の中でグッズを開けて見ていて、あの辺はいわゆる「ピンチケ(※)」ともトライブが異なるユースカルチャーだと感じた。だから彼らの出演も妥当すぎるぐらい妥当だ、アイドル的に。

 ではAKB48は今年は何人が出てきて人海戦術をするのか、SKE48やSDN48、それに研究生は出るのか......というわけでSKE48のシングル「1!2!3!4!ヨロシク!」(日本クラウン)の話題だ。AKB48の名古屋の妹分、ということで認知度自体は高そうだが、「1!2!3!4!ヨロシク!」は10月にYouTubeのSKE48公式チャンネルで公開された瞬間に「ヤバい!」と感じたアイドルソウル歌謡の傑作だ。オリコンのシングル週間ランキングでは初登場2位という好セールスぶりだが、ヲタ以外もちゃんと聴いてる? という警鐘をガンガン鳴らす意味でご紹介する次第だ。

 アイドルとソウルというのもひとつの鉄壁の路線だ。「1!2!3!4!ヨロシク!」を聴いてまず思い浮かべたのは、往年のモーニング娘。でのダンス☆マンのアレンジ仕事だった。今年は本連載でも紹介した東京女子流がその路線のシングルを連発しており、特に「ヒマワリと星屑」(avex trax)はライヴでイントロのギター・リフを聴いた瞬間に一気に興奮した傑作だった。そして「1!2!3!4!ヨロシク!」と続くと、こういう路線がもっと増えないかと欲も出てくるというものだ。

 ブラス・セクションによるイントロ、「Ready!」という声のオールド・スクールなサンプリング、そして歌へという流れのカタルシス。ミュージシャンのクレジットがないので生音かプログラミングなのか判別し難しいが、リズム・セクションひとつとっても完成度が高い。さらに、サビの前にアイドル然とした語りがいきなり入るギミックも素晴らしい。作曲のツキダタダシ、編曲の前口渉はともにアニソン畑のイメージがあったが、ここでの両者の仕事はSKE48の魅力を鮮烈に引き出すことに成功している。

 仙台の常盤木学園高等学校で撮影された、丸山健志監督によるビデオ・クリップもインパクトがある。とにかく人が多い。多すぎる。500人とかわけがわからない。しかもSKE48と制服の女の子たちのなかに、なぜかサンバのダンサーもいる。そういう曲じゃないだろ、パーカッションの音がちょっとそれっぽいだけで! というツッコミを入れたくなる、良い意味での馬鹿馬鹿しさには、EE JUMPの「おっととっと夏だぜ!」(トイズファクトリー)での竹石渉の仕事を連想した。さらに、そこにSKE48のダイナミックなダンス・シーンまで挿入される。楽曲とは別軸の解釈が行われることで「1!2!3!4!ヨロシク!」はユーモア、そしてなにやら感動まで見る者に与える作品に仕上がっている。

 楽曲とは別軸の解釈というと、カップリングのキネクト(松井珠理奈、松井玲奈)による「TWO ROSES」のビデオ・クリップにも衝撃を受けた。こんなにレディー・ガガだなんて......! 妙に彼女からの影響を隠すよりもはるかにすがすがしい。しかも松井珠理奈と松井玲奈が青と赤に塗りあげられて踊っている。インパクト強すぎるだろ......。こちらも丸山健志監督のいい仕事だ。

 言うまでもなく「第61回 NHK紅白歌合戦」には出演しないアイドルのほうが多いわけで、その中から「1!2!3!4!ヨロシク!」のような突出した楽曲も飛び出してくる。2010年も末だが、引き続きそうした作品をしつこく紹介していきたい。ええ、別にノンポリなんで。

(※)ピンチケ......AKB48の公演では中高生向けのチケットがピンク色をしているため、学生ファンはこう呼ばれる。

SKE48 4th.Sg「1!2!3!4! ヨロシク!」2010年11月17日発売MV


◆宗像明将
1972年生まれ。音楽評論家として、日本のロックやポップス、英米のポップス、ワールドミュージックを中心に執筆。その一方、2002年からソニンのヲタに。彼女の歌手活動停止後は、魂の救済を求めてPerfumeとtoutouのヲタになり地下へ。現在は地下から地上までのアイドル・シーンを見守る。http://www.outdex.net/diary/

1!2!3!4! ヨロシク!(typeA)


豪快に歌って踊る女子がカワイイってことは間違いない

amazon_associate_logo.jpg

[初回特典:Amazon.co.jp限定絵柄生写真付]SKE48 汗の量はハンパじゃない [DVD]


ライブこそがSKEの魅力、らしい

amazon_associate_logo.jpg

◆バックナンバー
【第1回】号泣アイドル降臨! ももいろクローバー「未来へススメ!」
【第2回】アイドルが"アイドル"から脱皮するとき amU『prism』
【第3回】タイ×ニッポン 文化衝突的逆輸入アイドル・Neko Jump
【第4回】黒木メイサ、歌手としての実力は? 女優の余芸を超える"ヤル気満々"新譜の出来
【第5回】全員かわいい!! 過剰なほど甘酸っぱく、幸福な輝きを放つ「9nine」のイマ
【第6回】AKB48「桜の栞」は、秋元康による"20世紀再開"のお知らせだった!?
【第7回】エロくないのにエロく聴こえる!! 聴けば聴くほど頭が悪くなる名曲誕生
【第8回】アイドルよ、海を渡れ 変容するSaori@destiny『WORLD WILD 2010』
【第9回】いよいよエイベックスが本気を出す!! 東京女子流という産業
【第10回】テクノポップが死んでも......Aira Mitsuki is not Dead!!
【第11回】アイドル戦争と一線を画す17歳美少女 そこにユートピアがあった
【第12回】おニャン子クラブの正当な後継者はAKB48ではない――「アイドル戦国時代」の行く末
【番外編】「ヲタがアイドルの活動を支えられるかどうかは、現場を見ればすぐに分かる」Chu!☆Lipsとチュッパーの幸福な関係
【第13回】非武装中立地帯的なアイドル・Tomato n'Pine
【第14回】99年生まれも!! 国産アイドル・bump.yのもたらす脳内麻薬と安心感
【第15回】「○○商法」で結構!! 限定リリース戦法でじりじりチャートを上る小桃音まい
【第16回】やっぱりAKB48は20世紀の延長だった!? 「80年代風アイドル」渡り廊下走り隊
【第17回】AKB48新曲バカ売れの背景――僕らはいつまでアイドルに「陶酔」していられるか




Sponsore
  • アイポケ
  • s級素人
  • FAプロ
  • MGS
  • OPPAI
  • KMP
  • smm
  • SOFT ON DEMAND
  • 溜池ゴロー
  • DANDY
  • teamZERO
  • 痴女ヘブン
  • ナンパJAPAN
  • BIG MORKAL
  • プレステージ
  • PREMIUM
  • MAXING
  • MOODYZ
  • MUTEKI
  • 乱丸
  • WANZ
  • twitter
  • facebook
  • google plus
  • feedly
  • RSS

menscyzo_161128_rectangle_c.jpg

メンズサイゾー グラビアギャラリー

人気記事ランキング

今日
今週