容疑者が逃亡先に「フィリピン」を選ぶワケ

gomennef.jpg※画像はイメージ 小向美奈子『いっぱい、ごめんネ。』徳間書店

 覚せい剤取締法違反(譲り受け)の容疑で逮捕状が出ている小向美奈子容疑者(25)。いまだフィリピンに逃亡中で帰国の気配はない。それどころか永住権獲得に動き出しているという話まで飛び出し、すわ”逃げ切り”か、とまで囁かれている。

 ところで、事件の容疑者が海外逃亡した際、「渡航先がフィリピンだった」というのはしばしば耳にする話だ。過去、どんな事件の容疑者がフィリピンに逃亡しているのだろうか。

 ワールドオーシャンファーム事件。フィリピンでのエビ養殖事業への投資話で、約850万円を集めたとされる、巨額詐欺事件だ。1年で倍の配当を出すという名目だったが、実態はねずみ講に近く、集めた金を配当に回す自転車操業だった。2007年2月頃、ワールドオーシャンファームの社長らが資金洗浄のために48億円をアメリカに送金したことが、FBIの捜査により発覚。アメリカに滞在していた社長らはフィリピンに逃亡したが、のちに逮捕。09年5月には、東京地裁にて元会長に懲役14年の判決が下されている。

 泉水博。1960年に強盗殺人事件を起こし、無期懲役判決を受ける。服役中、同じ刑務所の人間が病気になった際、看守を人質に取り、医者に診せろと要求。この行動が日本で唯一の囚人の組合である、獄中者組合の結成につながった。のち、77年に日本赤軍が起こしたダッカ日航機ハイジャック事件。犯人グループは人質の身代金のほか、日本で服役中の9名の釈放と日本赤軍への参加を要求した。泉水はこの9名のリストに入っていたのである。先の獄中者組合結成に尽力したことを日本赤軍側に評価されていたためとも言われているが、超法規的措置により異例の釈放。その後、国際指名手配される。釈放後から9年後の86年、逃亡先のフィリピンで逮捕され(旅券法違反)、日本へ送還。

 三和銀行横領事件。81年3月、茨木支店の預金係だった伊藤素子は愛人と共謀の上、同銀行の支店に架空名義の預金口座を開設し、振替入金があったように入力した。その後大阪や東京の支店窓口で、このニセの振替入金1億3千万をだまし取り、直後、上司に「歯が痛い」と言って外出。フィリピンのマニラに逃亡した。渡航後はアパートに潜伏していたが、同年9月に逮捕。ビザは切れていた。「お金のため、好きな人のためです。恋人の借金を返すためです」と動機を語っている。オンラインシステムを悪用した事件として、当時、大きく報道された。

 フィリピンは日本から比較的近く、英語が通じ、物価も安い。永住権獲得もさほど困難ではない。さらに、日本はフィリピンとの間に犯罪人引渡し条約を結んでいないため、フィリピンで犯罪を犯さない限り、強制送還はない。ちなみに、日本が犯罪人引渡し条約を結んでいるのはアメリカと韓国のみ。イギリスは115カ国、フランスは96カ国、アメリカは69カ国、韓国は25カ国と同条約を締結しており、日本は世界的に見て、極端に少ないと言えるだろう。近年、南米からの日系ブラジル人が日本に移り住むようになったことを受け、ブラジルとの同条約の作業部会を設置することに両国が同意したという。

 ”フィリピンは犯罪者の楽園”などと揶揄されることもあるが、この犯罪人引渡し条約を結んでいないことが、犯罪者の逃亡に大きく影響しているのではないだろうか。もともとフィリピンは日本人にとって住みやすい国なのだ。今回の騒動を受け、フィリピンとの条約締結への動きも、高まるとよいのだが……。そんな矢先、日本の警察当局が週明けにも外務省に小向容疑者のパスポート返納命令を要請する方針を固めた。これにより、小向容疑者がフィリピンから第三国へ出国することは不可能となる。フィリピンで再度身柄が確認され次第、現地の出入国管理官から強制退去させられることになるが、現地で地下潜伏を目論んでいるとのウワサもあり、すんなり帰国するかどうかはまだ分からない。

「フィリピン夜遊びMAX」

 
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