セックス体験談|別れのピロートーク#5

隔たりセックスコラム連載「別れのピロートーク#5」

隔たり…「メンズサイゾーエロ体験談」の人気投稿者。マッチングアプリ等を利用した本気の恋愛体験を通して、男と女の性と愛について深くえぐりながら自らも傷ついていく姿をさらけ出す。現在、メンズサイゾーにセックスコラムを寄稿中。ペンネーム「隔たり」は敬愛するMr.Childrenのナンバーより。

 

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セックス体験談|別れのピロートーク#5の画像1
※イメージ画像:Getty Imagesより

 こめかみからすぅーっと汗が流れ落ちた。それはセックスに興奮して出たものではなかった。モノを締め付ける痛み、不安を感じさせるベッドの軋む音。そんな不穏な雰囲気に飲み込まれないようにと歯を食いしばって耐えていた結果、流れ落ちたものだった。

 真っ白で豊かな左右の乳房が、まるで手を広げるかのように横に広がっている。

 腰を振ると、お皿の上に乗せたプリンのように乳房は可愛く震えた。もう一度腰を振るとそれは上下に動き、まるで乳首が頷いているみたいだった。もっと腰振っていい? そう問いかけてみたくもなるが、梨香の顔を見てしまったらそんなことは言えない。

 梨香は目を強くつぶり、唇を結んでいた。小さく万歳するように挙げられた手は、強くベッドのシーツを握っていた。揺れ動く乳房の柔らかさとは対照的に、表情は硬い。

 ゆっくりと腰を引き、ゆっくりと突く。どれだけ遅く動いても、ベッドの軋む音を消すことはできない。ものすごく嫌な音だ。


「痛い?」

「少し…」


 挿入する前までは順調だった。食べ合うようなキスで興奮し、互いの性器をとことん愛撫し合った。心は絶頂の状態で挿入に至った。

 だが、モノを挿入した途端、梨香は痛がった。そのせいか、アソコがモノを強く締め付けてきて、僕も痛かった。もう気持ち良いというレベルではなかった。圧力が強すぎて、モノが壊れてしまうのではないかと思うほどだった。

 慣れたら大丈夫かもしれない。そう思って、梨香のアソコの中がモノに馴染むようにゆっくり腰を振ってみるも、痛みは一向に消える気配がなかった。梨香はずっと痛みを堪えるような表情をしている。


「これはどう?」

「ん…」


 挿入してからずっとこの調子だ。腰の動かし方を変えても、梨香の反応は変わらなかった。僕はどうすればいいかわからなくなり、気持ちが投げやりになる。もう思いきり腰を振ってやろうか、とさえ思ってしまう。

 男女の関係において体の相性は重要か。「男女の友情は成立するか」と同じくらい恋愛で上がってくるテーマ。僕はそのテーマに対して、「体の相性など関係ない。お互いを想い合う気持ちが大事だ」という答えを持っていた。

 しかし今、その答えを変えざるをえない状況に直面している。僕と梨香はセックスをしているが、「相性」が良いとはとても言い難い。

 モノの大きさの問題か? それとも形の問題か? コンドームが合わなかったのだろうか? それとも梨香は濡れにくい体質なのか?

 想像できる痛みの原因が、頭の中に浮かび上がる。それが余計に燃え上がっていた僕の心を萎えさせていた。梨香の柔らかな乳房が、まるで僕をあざ笑うかのように揺れ動いている。


 キスして。もっと深く。ベッドで愛して。


 梨香がカラオケで歌ったセクシーな曲の歌詞をなぞるようにして、僕らは関係性深めていった。キスして、深いフェラをして、そして今ベッドで愛し合っている…。

 はたしてこれは、愛し合っているのだろうか。

 モノがアソコに入っている。ふたりの体はひとつになっている。だが、痛みを堪えながらぎこちなくセックスをすることは愛し合っていると言えるのだろうか。


「どうしよう、梨香。動いていい…のかな」


 愛し合うなんて簡単なことだと思っていた。セックスなんて、ただモノがアソコに入れば完結するものだと思っていた。

 だが、セックスにはいつだってどんよりとした不安がつきまとう。大満足なセックスなんて今までしたことがない。いつも何かしらの不安を感じてしまう。ということはつまり、僕は一度も誰かと愛し合ったことがないのかもしれない。

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