まるで東京の九龍城? 駅前ビル内のファッションヘルスは異空間の佇まい

 現在、とくに都内ではほとんど見かけないが、二十数年ほど前までは、風俗街ではない意外な場所で風俗店に出くわすことがあった。たとえば、商店街の奥まった路地の一角にポツンという感じでファッションヘルスなどがあったのだ。『穴場風俗店』とでも表現すればいいだろうか。

 だからこそ、JRの某駅前にあるビジネスビルの中で営業をしているファッションヘルス『D』を見つけた時には、驚きと同時に懐かしさがこみ上げてきた。ビルのフロアに忽然と現れる風俗店は、周囲との調和が取れているとは言い難く、そのことが“穴場感”を演出しているようでもあった。

 そのビルは、1階と地下1階は主に飲食店が軒を連ねていて、中には行列のできる店として知られている名店もある。また、遊戯施設や洋品店なども多く、ビル全体から猥雑とした雰囲気が漂っていた。

 猥雑さが増すのは、2階から上の階である。数軒の飲食店が点在するが、多くはアジア系のマッサージ店で、店の前を通るたびにお姉さんたちの勧誘が街中の客引きさながらにスゴイのだ。ウワサによれば、このマッサージ店の中には、本○有りのところもあるとか…。

 さらに、アダルト系のグッズやサプリメントを販売している店など、一気にエロ色が強くなる。そこに加えて性病科クリニックなどもあり、まるで大人の男の遊園地といった感すらある。そこに加えて、さまざまな会社のオフィスが入っているのだ。整然としているものの怪しさや淫らさがあって、『闇市』という言葉が思い浮かぶ。

 事実、このビルがある地域は、戦後に闇市があった。約45年前のビル開業時に、その闇市の跡地で営業していた店がテナントとして入ったという。また、あえて猥雑さを前面に出して設計されたという話もあり、「このビルの愛好家の中には“東京の九龍城”と表現する人もいます」(事情通)とのこと。

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