【現役セックスワーカーの素顔と本音】銀行員発、トラック運転手経由のデリヘル嬢・前編

truckdriver0715fla.jpg※イメージ画像 photo by Reiver RE229 from flickr

 「インタビュー取材にご協力頂ける風俗嬢さんを探しています」の募集に対し、「風俗嬢というか風俗婆ですが(笑)」と返してくれたのがI子。年齢を尋ねると、現在41歳だという。決して、婆という年齢ではない。実際、取材場所に現れた彼女も、若々しくチャーミングな女性であった。

 I子が風俗業界に飛び込んだのはわずか半年前。

「41歳の誕生月にデリヘルデビューしたんです」

 だいぶ遅咲きのセックスワーカーだ。I子が四十路で風俗デビューを決意した背景には、どのような事情があったのだろうか? 

 関東の小さな田舎町で生まれたI子は、父母と妹の4人家族。父親は、運送関係の会社を経営していた。

「悪いことをすると靴べらで叩かれるような躾を受けていました。父は、母に対しても厳しい人で、多分それが原因だったと思うんですけど、母が精神的に病んじゃって入院することになったんです」

 母親の入院で、一家の生活は激変した。I子は、妹とは別々で親戚の家に預けられることになる。

 子供心に、「よそのお家では、なんでも言うことを聞かなければ」と思った。あちこちの親戚をたらい回しにされたため、自然とそう思うようになったのだろう。

 小学校2年の時には、親戚の家どころか、父親が飲み屋で知り合った赤の他人に預けられることになった。この時期、彼女は初めての性的体験を持つ。

「その家には、小学校6年生くらいの男の子がいたんですよ。その男の子に、お医者さんごっこと言われて、洋服を脱がされていました」

 ハダカにされただけでなく、胸や下半身も触られたが、「よそのお家では、なんでも言うことを聞かなければ」と思い、抵抗しなかった。

「ぶっちゃけ、イヤって気持ちもなかったんです。4歳くらいの頃からテーブルの角に股を擦りつけてオナニーのまねごとをしているような子だったから(笑)」

 そういった複雑な家庭環境が影響してか、小中学校の頃はほとんど学校に行かなかった。いじめられっこだったわけでもないし、不良だったわけでもないが、学校に興味が持てなかったのだ。学校よりも、「anan」に載っているような大人向けのちょっとエッチな恋愛小説を読んでいるほうが楽しかった。

 少しだけ変化が訪れたのは高校生の時。野球部のマネージャーをやってみることになった。そこでI子は、2学年上の野球部員から交際を申し込まれる。そして初体験を迎えた。4歳から角オナニーをしているI子のことだから、さぞかし初セックスに燃えたのかと思いきや…、

「ほとんど記憶に残っていないんですよ。一般的に言われているような、痛みだとか出血も無かったし」

 一般的な女性のように、セックスによって好きという気持ちが強まることは、I子にはなかったようだ。初体験の彼氏とはすぐに別れた。

 その後、ようやく夢中になれる男性が登場する。相手はなんと教育実習生。クルマも持っているし、お酒を置いているようなお店にも連れていってもらえるし、中学生の頃に読んでいた「anan」の恋愛小説と同じ世界がそこにはあった。

 高校生にとって、クルマもお金も持っている教育実習生が大人に見えるのは当然のこと。そのためか、教育実習生と別れた後は、年の近い男の子と付き合っても、楽しいと思えなかった。

 そして高校3年生になり、進路を決める時期に入る。I子が通っていた高校は、県内でも有数の進学校。I子以外は全員進学を目指し、就職するのは彼女だけだった。周囲がみな、受験勉強で忙しい冬休み、I子は自動車教習所に通った。教習所で知り合った大人たちと遊び歩いてばかりだったという。家に帰りたくなかったのだ。小学校6年生の頃から、再び家族4人で暮らすようになっていたが、I子にとっては窮屈な家だった。

■後編に続く
※後編はコチラから(2013年7月18日公開予定)

(取材・文=菊池美佳子)

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