王子様も人間だもの

パンクな人生を送ったベルギーの王子が孤独死

2866046358_a3a8988df6.jpg※イメージ画像 photo by Joe Penniston’s from flickr

 オランダとベルギーの最新ニュースを伝える情報サイト「ポートフォリオ・オランダニュース」が、ベルギーのベルトラン・ド・メロード王子が、港町オステンデのアパートで死亡しているのが発見されたと報じた。死亡の原因はまだ不明とされているが、この王子は”王子”であるにもかかわらず貧しい生活をしており、病院にも何度か入院していたとのことである。

 ベルトラン王子は、1952年にベルギー貴族ド・メロード家に生まれた。「王子」と呼称される由来は、ベルギー国王アルベール一世が1930年にド・メロード家に皇室の称号を与えているためである。ベルトラン王子は若い頃から「変わり者」扱いされていたそうで、華やかな世界が苦手だったのか、城を飛び出し、路上で生活するようになった。家族からの援助も「プライドが許さない」として断っていたという。

 記事によれば、王子はオステンデの市長の部屋に木製のピストルを持って入り込んだり、ナチュラリストとしてブレデーンにヌーディストビーチを確保したりと、話題に尽きない人物だったそうだ。王子には結婚を望んでいたガーナ人の美しい恋人がいたが、彼女は今年、金の密輸入に関わったとして逮捕され、さらに実は男性であることが発覚していたとも報じられている。王子の数奇な人生を報じたこのニュースに、日本のネット上では大盛り上がり。不謹慎ながら「なにこの数え役満」「畳み掛けるようなネタの宝庫だな」さらに「映画化しろよ」という声も。

 ちなみにベルギーでは、2001年に同性愛カップルの結婚合法化法案が了承されており、民法上の権利や義務などについて、同性間の結婚を異性間の結婚と同様に扱うよう定められた。恋人が実は男性であったにせよ、結婚したいほど惚れこんでいたのであれば服役後に婚姻関係を結ぶこともできたわけで、ひとりアパートで孤独な死を迎えてしまったことは気の毒としか言えない。

 ベルギー王室といえば、血縁関係はないものの第六代国王アルベール二世の第三子で、王室直系の王子であるローラン王子もちょっと変わり者である、と前出サイトで報じられたことがある。大の愛犬家で「プリンス・ワンワン」というあだ名を持つローラン王子は、ガンで死亡した愛犬との別れがつらいと嘆き、大学施設を利用して犬の死体を冷凍保存したという(後に考えをあらため解凍)。

 高貴な家柄に生まれたからといって、必ずしも雅な人柄に育つとは限らないものである。

(文=篠田ロック)

『王子辞典 Prince Dictionary』太田出版

 
日本はエセ王子だらけだね

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