山口美江の謎の死にみる「女性の孤独死問題」

yamaguti0309.jpg※イメージ画像:『山口美江という「私」』
著:山口美江/サンドケー出版局

 ニュースキャスター出身のタレント・山口美江さん(51)が心不全で死去した。8日朝、近所に住むいとこが電話がつながらないことを不審に思って山口さんの自宅を訪ねたところ、リビングで服を着たままで倒れている彼女を発見。119番通報によって救急隊員が駆けつけたところ、既に死亡していた。

 所属事務所によると、山口さんは2月上旬からめまいや動悸などで体調を崩して通院しており、雑誌の取材中も薬を飲んでいたという。16歳の時に白血病で母親を失った山口さんは、父親も晩年にアルツハイマーで寝たきりとなり、父親が2006年に死去するまで介護をしていた。結婚はしておらず、現在は横浜の一戸建てで一人暮らしだった。

 美容メーカーのマーケティング担当や社長秘書、通訳などを経て、『CNNヘッドライン』(テレビ朝日系)のニュースキャスターとなった彼女は、フジッコのCM「しば漬け食べたい」の名フレーズで一躍ブレイク。語学に堪能な元祖バイリンギャルとしてバラエティーでも活躍した彼女だが、若くして孤独死という悲しい最期になってしまったようだ。

 美女の孤独死といえば、09年8月に他界した大原麗子さん(62歳没)が思い浮かぶ。約2週間も連絡がとれないことを心配した弟が警察官と共に大原さんの自宅を訪れると、寝室のベッドであおむけの状態で死亡している彼女を発見した。死因は不整脈による内出血で、死後2週間が経過していた。東映のスターとして数々の映画やドラマに出演し、「好感度No.1女優」ともいわれた彼女の孤独死という最期にショックを受けたファンや関係者は多かった。

 元AV女優で”Tバックの女王”と呼ばれてタレントとしても活躍した飯島愛さん(36歳没)も、孤独死した美女の一人。ミリオンセラーを達成した自伝『プラトニック・セックス』(小学館)で作家としても成功した彼女は、07年に芸能界を引退。以後は”セレブニート”を自称してネット上などで活動していたが、08年のクリスマスイブに自宅で死亡しているのが親戚の女性によって発見された。彼女は東京都渋谷区のタワーマンションで一人暮らしをしており、発見された時は死後1週間が経過していた。警察発表によると、死因は肺炎とされている。彼女は同年12月5日にブログ更新をしており、最後となったエントリには今も彼女を慕うファンからのコメントが書き込まれ、コメント数は約6万8千件を突破している。ファンにとって彼女の突然の死が、どれほどショックだったのかをうかがえる現象といえるだろう。

 どれも、華麗な芸能界で活躍した才色兼備の美女たちの最期としては、あまりにも寂しい。なぜ孤独死という人生の終わり方になってしまったのか。

「芸能界で活躍するような女性は、中身が男性的である場合が多い。この中で唯一結婚経験がある大原さんも、森進一と離婚した際に『家の中に男が二人いるようだった』と離婚理由を語っていましたね。タレントとして成功していれば、経済的にも結婚する必要がないですし、一人暮らしになるパターンが増えた。元気なうちはいいですが、病気をした際や老後の一人暮らしは厳しいですよ。体調を崩して身動きがとれなくなると、普通なら死ぬような病気でなくても命にかかわる事態になる。飯島さんが発表通り肺炎で亡くなったのだとすれば、誰かが近くにいれば救えたかもしれません」(医療関係者)

 女性の社会進出が進み、結婚の必要性を感じなくなった女性は一般社会でも増えている。ライフスタイルの変化といえばそれまでだが、そこには悲しい孤独死を招きかねない危険性が潜んでいることも忘れてはならない。これは独身貴族を続けている男性にとっても他人事ではない無縁社会の闇といえるだろう。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

『女ひとりで親を看取る』

 
ご冥福をお祈りします

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