歩きながら横目でアイミちゃんを値踏みする。短くて太い足を懸命に動かし、こちらの歩調に合わせてくる様子はなんとも滑稽だった。
周囲の人から見たら、不細工同士のお似合いカップルに見えていたことだろう。
自意識過剰なのは百も承知だが、そんな視線から逃げるようにして歩調が速まってしまう。
ようやく北口階段を上って地上に出る。
ここまで来れば、ようやく人心地つける。夜のとばりが周囲の好奇の目をガードしてくれるからだ。
こちらとしては会話でその場を盛り上げる気になれなかった。
しかし、沈黙に耐えきれず語りかけることにした。
「アイミちゃんはよく池袋に来るのかな?」
「乗り換え駅なので毎日利用してます。でも、それくらいですね」
「そ、そうなんだ」
会話があっという間に行き詰ってしまった。
いつもなら考えるより先に舌が動くのだが、どうにもエンジンがかからない。
愚息はパンツの中でずっと縮こまったまま。やはりチンコがギンギンになっていないと、思考能力が激減してしまう。
さて、困った。次は何の話題にしよう?
先月別れた彼氏の話は地雷の可能性が強いし、仕事の話を聞くのもプライベートに踏む混むようで危険だ。
かといって、このまま無言のままホテルに向かうのも拷問みたいなものだ。
そうこうしているうちに、いつも飲み物を購入する自動販売機の前に着いた。
「空気が乾燥してるから、何か飲み物を買っていこうか?」
「あ、私、お茶を持ってるので大丈夫です」
「そ、そうなんだ。じゃあ、俺はお茶を買いたいからちょっと待っててね」
アイミちゃんに悪気がないのは分かっている。しかし、どうにも会話が続かない。
だが、ここが踏ん張りどころだ。
ここで諦めてしまったらそれまで。この大きな壁を乗り越えた経験は間違いなく己の財産となるはず。
「ね、アイミちゃんはどんなエッチが好きなのかな?」
いつもはホテルに入ってからする質問なのだが、周囲に人影がまばらなのを幸いにして聞いてみることにした。
「そ、そうですね。優しくされるのが好きです」
「うん! 俺も!! 俺も優しく愛撫するのが大好きなんだ」
「本当ですか? 嬉しいです」