第一印象で彼女のことを不気味だと思ってしまったが、その印象に流されないで良かった。
会話のノリも良く、愛嬌もあるチナツちゃん。その能面顔はマジマジと見つめると強烈だが、笑顔のおかげでだいぶ緩和される。
「ひとつお願いがあるんですけど」
「うん。なんでも言って」
「エッチの時…部屋を暗くしてもらえますか?」
「もちろんだよ」
「ありがとうございます」
「もしかして、全身入れ墨だらけとか(笑)」
「そ、そうじゃないです。やっぱり、恥ずかしいから…」
「入れ墨は冗談だけど、できるだけ部屋を暗くするから安心してね」
「は、はい」
「じゃあ、俺のほうからもひとつお願いしていいかな?」
「はい?」
「チナツちゃんはどんなエッチが好きなのかな?」
「えっ?」
「ほら、どうせエッチするんだから、たくさんチナツちゃんに感じてほしいんだ。だから、チナツちゃんの望み通りのエッチになるよう頑張りたいんだ」
「フフフ。そんな風に言ってもらえたの初めてです」
「そう? だって、女性がたくさん感じてくれたほうが幸せなんだもん」
「幸せ?」
「薄々気づいてるかもしれないけど、俺ってMなんだよね。だから、エッチが始まると女性に奉仕したくてたまらなくなるんだ」
「フフフ。それって、優しいってことじゃないんですか?」
「違うって。俺の性癖だって! それで、どんなエッチが希望なのかな?」
「えっと…、たくさん優しくされたいです」
「了解! 他にもしてほしいことがあったら、エッチの最中でもいいから教えてね」
「分かりました」
ただ優しくされたいのではなく、“たくさん優しくされたい”と答えたチナツちゃん。
旦那にどれほど優しくされていないのか突っ込んで聞きたくなったが、藪蛇(やぶへび)になる恐れがある。ここは華麗にスルーするのが礼儀だろう。
その後、別々にシャワーを浴び、いよいよベッドイン。