ゆっくり彼女に近づいていくと、徐々に体型も分かってきた。
ぼ、ボインちゃんじゃん!
38歳という年齢に相応しい中肉中背といった感じだったが、胸の大きさが際立っていた。おっぱい星人の筆者にすれば、
こんな優良物件をスルーするなんてあり得ない!
彼女の目の前に立つと、スケベな顔にならないよう注意しながら話しかけた。
「お待たせ、チナツちゃんかな?」
「は、はい」
「さっき、サイトで約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こ、こちらこそ、お、お願いします」
周囲を気にしながら答えるチナツちゃん。人妻なので、どうしても周りの目が気になるのだろう。場所を変えたほうがよさそうだ。
「ここで立ち話もなんだから、とりあえず、そこの階段を降りて地下に行こうか?」
「あっ、はい」
アルタ脇の階段を降り、地下街に誘導する。そこも人通りは多いが地上ほどではなく、人の流れに沿って歩きながら会話すれば、目立つことはなくなる。
「やっぱり周りの目が気になるよね」
「は、はい」
「新宿にはよく来るの?」
「い、いいえ」
「これ以上近づかないようにするから安心してね」
「えっ?」
「これくらい離れていれば、万が一知り合いに見られても変に思われないでしょ?」
「ありがとうございます」
「それと、正直に教えてほしいんだけど、俺で大丈夫かな?」
「えっ?」
「もし嫌だと思ったら、遠慮なく断ってもらっていいんだよ」
「そ、そんなことないです」
「俺、このまま振り向かずに歩くから、嫌だと思ったら回れ右して帰っていいからね」
「フフフ。そんなことしませんよ」
「あっ! やっと笑ってくれたね。そのほうがずっと可愛いよ」
「も、もう、お上手ですね」
「お世辞なんかじゃないって。すっごく可愛くてキュンキュンしちゃったもの」
「な、なんだかこういうのに慣れていそうですね、ショーイチさんって」
「えっ? お、俺? そんなことないよ。このスケベな顔のせいで、普段はまったく女性と縁がないからさ」
「そんなにスケベそうに見えませんよ」
「今は太ももをツネってるから、顔がまともに見えるだけだよ」
「えっ?」
「ほら、この手を見て? ポケットに入れた手で足をツネってるんだ。こうでもしてないと、すっごくスケベな顔になっちゃうんだ」
「フフフ。スケベな顔、見てみたいです」
「きっとドン引きしちゃうよ」
「そんなことないですよぉ。あっ、ショーイチさんこそ、私みたいなので平気ですか?」
「あったり前だよ! 嫌だったら、とっくの昔にダッシュして逃げてるから」
「逃げちゃうんですか?」
「う、うん。面と向かって嫌って言えないから、逃げちゃうタイプかな」
「へぇ、そうなんですかぁ」
「だから、チナツちゃんに逃げられてもあまりショックじゃないからね」
「逃げたりなんかしませんよぉ」