「ねぇ。いきなりだけど、元ももクロの早見あかりに似ているって言われない?」
「何度かお客さんに言われたことはあります」
し、しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!
今回のデートに際し、筆者は決めていたことがあった。M美チャンを普通の女性として扱うため、できるだけ仕事の話はしないようにしようと…。
完全に後の祭りだが、話題を変えることにした。
「池袋には遊びに来たりするの?」
「ほとんど来ないですね」
「そうなんだ」
「ショーイチさんは新宿と池袋がメインですよね?」
「うん。自宅がちょうどその真ん中あたりだから、そのふたつがメインかな」
「便利そうでいいですね」
「そうだね。歩いて行こうと思えば、どっちも可能な距離なんだ」
「それは羨ましいです」
「M美チャンはどの辺りに住んでるの?」
「H台のほうなんです」
「おっ、H台かぁ。十分便利なところだね」
「は、はい」
「たしかにH台あたりじゃあ、わざわざ池袋に来る必要もなさそうだね」
「そうですね。だから迷わないように早めに家を出てきました」
「ありがとう。M美チャンみたいに綺麗で素敵なコと会えて本当に嬉しいよ」
「私のほうこそ、ありがとうございます。本当に会ってもらえるとは思ってなかったから嬉しいです」
「何言ってるの、会うに決まってるでしょ! あんな可愛い写メを貰ったんだからさ」
「フフフ。ありがとうございます」
5分ほど歩き、目的のラブホに到着。休憩料金で5千円ほどの“中の上”といった感じのホテルだ。
本当は見栄を張って高級なところにしたかったが、懐が寂しく、これが精いっぱいだった。
無事に入室すると、会話をエロネタにシフトしていった。
「それだけ綺麗なんだから、セックスしようと思えばいつでもできるんじゃない?」
「そんなことないですよぉ。お客さんとの出会いはありますけど、プライベートは全然寂しいんです」
またやってしまった…。やはり、仕事を思い出させないという目標は無理があったのかも。
そもそも、仕事のことを口にする際のM美チャンの表情は曇ったりしていなかった。どうやら筆者が気にし過ぎていただけのようだ。
ということで、気を使い過ぎないように、会話を続けることにした。