「実際の俺ってこんな感じだけど、大丈夫?」
「え? 何がですか?」
「ほら、送った写メよりもずっとスケベそうな顔をしてるでしょ?」
「そんなことないですよぉ。すっごく真面目で優しそうですよ」
「あ、ありがとう。それじゃあこのままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい! よろしくお願いします!」
こうして、ホテル街に向かって歩き始めた。
「マコちゃんって、ああいうサイトでよく遊んだりするの?」
「去年から使ってるんですけど、月に1、2回程度ですね」
「やっぱり、生理前とかでムラムラしていると遊びたくなるのかな?」
「えぇっ!? それって、なんかオヤジ臭いですよ! そういうんじゃなくて気分です」
「お、オヤジ臭かった? ゴメン、ゴメン。そっかぁ、気分なんだぁ」
「そういうショーイチさんこそよく遊んでるんですか?」
「俺も大体月に1、2回くらいかなぁ」
「どういう時に遊ぶことが多いんですか?」
「仕事がひと段落した時とか、欲求不満になった時とかかな?」
まさか週に1、2度のペースで遊んでいるとは言えない。だから、こういう質問をされた時は、“月に1、2回くらい”と答えるようにしているのだ。
会話の最中、やたらと腕や肩に触れてくるマコちゃん。どうやら、かなり遊び慣れているようだ。スキンシップに慣れていない筆者は、こういったわずかな接触にも興奮してしまう。
コイツ、もしかして俺のこと好きなのか?
そんな風に勝手に勘違いして浮かれてしまうのだ。
その結果、いつもよりグレードの高いラブホテルを選び、チェックインしてしまった。
個室でふたりきりになったところで、もう少し突っ込んだ会話をすることに。
「マコちゃんはどんなエッチが好きなの?」
「えっ?」
「ほら、サイトに“とろけるようなエッチが理想”って書いてたでしょ? 具体的に教えてほしいな」
「んー、具体的にコレっていうのはないですけど、恋人同士みたいな雰囲気でするのが好きです」
「おっ! 俺もだよ!! それじゃあ、今だけは本物の恋人同士の気分で楽しもうね」
「フフフ。ショーイチさん、すごく楽しそうですね」
「そりゃそうだよ! 今から気持ち良くて楽しいことをするんだから、笑顔になって当然だよ」
「それもそうですね。私も楽しみです♪」
その後、まずマコちゃんがシャワーを浴び、入れ替わりで筆者も。念入りに全身を洗ってからベッドルームに戻ると、マコちゃんはベッドの中に潜り込んでいた。彼女の使ったバスタオルが見当たらないので、マコちゃんが体に巻いているのだろう。
「ちょっと歯磨きするからもう少し待っててね」
そう声をかけてから洗面台の前に立つと、そこにはビニールでカバーされた状態のコップがふたつあった。つまり、マコちゃんは歯磨きどころかうがいもしていないことになる。
チッ!
シャワーを浴びながら口内を洗ったのかもしれないが、ほぼ未使用状態の洗面台を見てゲンナリしてしまった。
たとえベッドイン直前まで歯磨きしてなくても、こちらがそれとなく清潔感をアピールすると「私も歯磨きしますね」と反応してくれるケースがほとんど。しかし、マコちゃんにはそれが通じなかったようだ。
ちょっとイラッとしたものの、エッチが始まる直前なのでどうしようもない。
時間をかけて歯磨きを終え、温水で念入りに手を洗うと、いよいよベッドイン。