【待ちに待った『仕事の相談』当日】
 
  私は、彼女が指定した駅に車で迎えに来ていた。
 
  前日の夜は雨が降っていて、天気の心配もしたが、明け方に天気は回復した。
 
  はやる気持ちを抑えながらも、意気揚々と美春の迎えに繰り出してきたというわけだ。
 「お待たせ~! 待った?」
 
 
  助手席に乗り込んできた美春は、タイトなTシャツにダメージデニムというラフな格好だった。
 
  出勤時にこういった服装を禁止している我が店舗では、絶対に見られない光景だ。
 「なんか、いつもと感じ違うね」
 
  「ん~なになに? ギャップ萌えってやつ(笑)?」
 
 
  からかう様な笑顔で顔を近づけてくる美春。
 
  照れそうになるのを隠すため、私は席に座り直し、車を発進させた。
 「さっ、どこに買い出し行く?」
 
 「いまの、絶対照れ隠しでしょ(笑)!」
 
 
  バレてたか…と心の中で思いながら、車をスーパーマーケットへ走らせる。
 
  美春は、結局食べたいものが決まらなかった私の代わりに、メニューを考えてくれていた。
 
  他愛もない会話をしながら、私たちは買い物を済ませるのだった。