美咲かんなエッセイ:ふしだらな気持ち「人には人の、青い春」

 美しい花には棘がある――。誰もが備える多面性を表現したこの言葉。特に男を惑わす美女には危険な一面がある、という男の自戒的な意味を表しているわけだが…。勝手に舞い上がって棘が刺さってしまうのは男のせいとも言える。美女には美女の悩みがあるものだ。AV女優・美咲かんなも悩み多き美女のようで…。美しくもどこか陰のある彼女が、素直な気持ちをふしだらに綴る。

 

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美咲かんな

 

美咲かんなエッセイ:ふしだらな気持ち「人には人の、青い春」

 6月某日、私は第3回目のエッセイの内容をどうするか悩んでいた。連載が始まってひと月も経たないというのに、既にスランプ気味である。どうにか絞り出した文章を打っては消し打っては消し、思い悩んでいると突然テレビから「うどんは青春の味」という力強い言葉が聞こえてきた。

 福岡県出身の俳優、武田鉄矢が故郷の名物について力説している。

 部活動で思い切りしごかれた後、腹が減ってうどんを食べたのが青春だったと武田鉄矢に言われてしまったら、なんだか自分もそんな青春を経験してきたかのような気持ちになった。

 青春といえば映画やドラマ、漫画に描かれることも多く、青春モノというのは人気。それだけ共感できる思い出があるという人も多いのだろうか。

 私はどちらかというと青春を謳歌せずに大人になってしまったタイプだ。

 部活動というものはやっていなかったし、特別に没頭する趣味があったわけでもない。恋愛はしていたつもりだがどれも一方的に憧れを抱く程度で、人に話して聞かせるほどの経験もしないまま高校を卒業した。

 今でも中高時代の友人とはたまに連絡を取り合い、茶を飲み思い出話に花を咲かせることがあるけれど、どの友人のことを思い浮かべても、皆キラキラとした学生時代を送っていたように思う。

 スポーツや学業に励み、積極的に恋をしていた同級生たちと私は何が違ったのだろうか。

 幼い頃から素直で明るく奔放な同世代を見ていると、子供っぽくて短絡的だと感じることがあったが、だからといって私が特別賢かったわけでもしっかりしていたわけでもない。困ったものである。

 私自身ネガティブだとかテンションが低いとか、そんなつもりはないのだが周りに言わせるとそうらしい。人を不快にさせぬようになるべく合わせることを心掛けてはいるが、そんなことを気にしていると疲れて人付き合いの機会も減ってしまう。学生の頃は朝から夕方までその調子なので、部活動やその他の交際に回せる気力などなかった。

 そのせいにしてはいけないのだが、私の歴史には「モテ期」というものが存在しない。大袈裟なのではなく、本当に存在しない。

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