美咲かんなエッセイ:ふしだらな気持ち「人には人の、青い春」

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 何ならナンパですら驚くほど縁がない。階段の踊り場に呼び出されて「好きです」なんて言われたこともあったのだが、当時の私は男女交際などというものを想像できなかったため、興味がなく「あり得ない」の一言で片づけ相手にしなかった。

 それに対する相手の反応も見ないままその場を立ち去ってしまったので、その後彼がどう思っていたかも聞かずに終わってしまった。

 人生で本気の告白をされたと感じたのはそれを含めたった2回だけ。今思えば残念というか、私の断り方が非常に残念だった。若気の至りというものか。人の気持ちを考えて、もっと優しく断ればよかったのではないかと思う。次こそは傷つけないようにと決めてはいるが、以来真面目に告白されてお断りするという機会には恵まれていない。

 学生が打ち込むようなことは一切せず、悶々と考え事をしたり自意識と闘ったり…とても青春時代を謳歌したとはいえないような過去だが、青年期らしい悩みをもっていたし自分なりに苦しんだので、ある意味味わうことはできたのかもしれない。そのあたりについても細かく語りたいところだが、連載もまだ序盤なので出し惜しみをしている。

 私には部活動でしごかれた後に食べるうどんのような青春の味はないが、強いて言うなら、学食で売っていたお弁当や揚げ物が青春の味だろうか。

 そういえば、一度だけ学校行事の準備の帰りに「なか卯」でうどんではなく親子丼を食べたことがある。それが私にとって人生初なか卯だった。

 一緒に食事をした同級生は皆運動部だったので、もしかしたらいつもそうやって部活動の帰りや放課後に青春の味を楽しんでいたのかもしれない。なか卯はうどんが美味しいと大人になってから知ったのだが、あのとき以来足を運べず、未だにうどんを味わったことはない。

 人には人の青春がある。正解なんてものはないと思う。キラキラとした青春に決して憧れてなんかいない。憧れてなんかいないけれど、これから先私が青春を経験するなら、丼やうどんを出しているようなお店で腹ごしらえをしたり、ファミレスでハンバーグを一緒に頬張ってくれたりするような人と恋に落ちてみたい。

 「一生青春」なんて言葉もある。撮影か夢の中でしかドラマチックな経験のない私にも、いつか青い春が訪れるのかもしれない。

美咲かんな

 

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【美咲かんな】
生年月日:1994年7月3日
スリーサイズ:T158・B85・W58・H88(cm)
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