“特殊女優”の殻を脱ぎ捨て…三輪ひとみ、ジョージ秋山『捨てがたき人々』で新境地を開く! ~人の欲と業の深さに女優としていかに臨んだのか~

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 『アシュラ』そして『銭ゲバ』など、人間の深い業に迫る問題作を数多く発表し続けてきた漫画家・ジョージ秋山。そのテーマゆえに「映画化は困難」と言われ続けているが、そんな氏の代表作のひとつ『捨てがたき人々』が、このたび実写映画化された。

 生まれ故郷へ戻ってきた、欲望に忠実なワケあり男・狸穴勇介(大森南朋)。そして顔にアザのある情の深い女・岡辺京子(三輪ひとみ)。二人はなし崩しに関係を持ち、曖昧な恋愛関係のままズルズルと家庭を築くことになる。だがそんな二人のもとで、逃れられぬ業を持った者たちのドラマが繰り広げられ、彼らは生きることの“意味”についての問いを突きつけられるのだ。

 監督は役者として、そして映画監督としても脂の乗った活躍を見せる榊英雄。自身の故郷でもある長崎の五島列島を舞台に、閉塞的な田舎社会の中で 情欲にまみれた日々を過ごす主人公の勇介と、半ばレイプされるように関係を持ち、それでも独自の倫理観のもとで彼を赦し、常に微笑みを絶やすまいとする京子の生き様をリアルに捉えている。

 そんなヒロイン京子を演じたのが、Vシネマ版『呪怨』(2000年)や『ひぐらしのなく頃に』(08年)など、和製ホラークイーンの呼び声を欲しいままにした女優、三輪ひとみだ。過去にメンズサイゾーでもインタビューを掲載した『逆襲! スケ番☆ハンターズ~地獄の決闘~』(10年)など、特異なジャンルでマニアの熱狂的な支持を得てきた彼女。現在はフジテレビ系列で放送中の昼ドラ『聖母・聖美物語』(東海テレビ制作)での怪演が話題を呼んでいるが、この『捨てがたき人々』でも、自身初となるヌードや絡みのシーンを惜しげもなく披露し、女優としての新境地を開いている。

 今回そんな彼女に直撃取材を敢行。女優として今回の決断の意図や、今後どこに向かおうとするのか? ジャンルを問わず活躍する三輪ひとみに、真正面から迫ってみた。

 

sutegataki.jpg『捨てがたき人々』6月7日(土)公開! (C)2012「捨てがたき人々」製作委員会

 
■脱ぐなら、イメージを破壊する覚悟で!

──4年前に『スケ番☆ハンターズ』でインタビューさせていただいたとき、“日本一喪服の似合う女を目指す”とキャッチコピーをつけたんですけど、今回の『捨てがたき人々』でも喪服を着ていますね。

三輪ひとみ(以下:三輪):そうですね、なんかすごい偶然で(笑)。

──本作に出演されることになった経緯は?

三輪:一度こういう濃厚な人間ドラマをやってみたいと思っていたので、お話をいただき脚本を読んで、迷いましたが出演を決めました。

──ジョージ秋山さんの原作は読まれましたか?

三輪:榊監督から「あまり原作にとらわれないでいいですよ」というお話を聞いてたので、深くは読み込んでいないんですよ。それでも少しだけ原作のさわりを読みましたが、途中で止めました。ジョージ秋山先生の絵はすごい力があるので、これ以上読んでしまうと、自分の中でイメージが出来上がってしまうと思って。

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──でも映画は原作の再現度がすごいですよ。

三輪:そこは榊監督や脚本を担当された秋山命さんのこだわりだと思います。わたしはむしろ京子という役柄に引っ張られないようにと、抵抗しながら演じました(笑)。

──この作品への出演は、とても覚悟が必要だったのではないかと思いました。どうしても「三輪ひとみが脱いだ!!」みたいなことをセンセーショナルに言われたり書かれたりしますし。

三輪:たしかに今回は初脱ぎになりますが、それを超えたところに作品があるので、脱ぐことで騒がれるのは嫌ですね。ですから、そこだけをフィーチャーしないでくださいと、最初にお会いしたときに伝えしました。

──ご自身が結婚されたことが、役柄への挑戦になにか影響を与えたりしたのでしょうか?

三輪:仕事を決める時にその事(結婚)が全く影響してません。とは言い切れませんが、それは年齢やその時期の気持ちの変化でも違いが出るのと同じだと思ってます。今ではなく、もっと早かったり遅かったりしたら受けていなかったかもしれなかったから。その時々にいただいたお話(仕事)が出来るか判断しながら決める事に変わりはないかな。

──役のイメージも、これまで演じてこられた少年役だったりホラーヒロインといった特殊なものではなく、一人の女として人生と対峙するキャラクターですね。

三輪:私自身はとにかく面白い作品をやりたいというのが基本なので、たまたま出演を決めた作品にそういう(脱ぐ)シーンがあっただけなんですけどね。皆さんが思っていて下さっているイメージは変ったかと思いますが。

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