「昼ドラがエロすぎて減給処分」の騒動に悲観する昼ドラ愛好家の声

siawasenoji0305main.jpg※イメージ画像:『幸せの時間』オフィシャルHPより

 昨年末に爆発的ヒットとなった昼ドラ『幸せの時間』(主演:田中美奈子/東海テレビ)に関する問題で、東海テレビ役員4名に対して減給・厳重注意等の処分があった(3月4日付)。ドラマが放映されたのは昨年の11月~12月にかけて。「何を今さら!」と思った人も多いだろうが、事の発端となったのはBPO汐見稔幸氏による委員長談話だ。

 BPOとは、放送倫理・番組向上機構の略称。NHKおよび民放連によって設置された第三者機関で、放送への苦情や放送倫理の問題に対応している。視聴者から、「問題がある」と指摘された番組を検証し、局に見解を伝える役割を担う機関だ。BPOは、放送倫理検証委員会・放送人権委員会・青少年委員会の3つの委員会で構成されており、今回の談話は青少年委員会によるもの。視聴者から、「青少年が視聴するには問題がある」「青少年の出演者の扱いが不適切だ」などの指摘された番組について審議を行ない、見解を公表し、制作者との意見交換を行なっている。

 委員長談話には、「放送開始直後から、昼間の番組であるにもかかわらずその性的描写が過激であるとの批判が視聴者意見として多数寄せられました」とある。確かに、第1話からいきなり西村和彦扮するエリートサラリーマンと不倫相手の立ちバックのシーンで始まり、その後も高校生の息子のオナニーシーンあり、保田圭が夫役・城咲仁のペニスを切りつけるシーンあり、そしてもはや伝説ともなったストーカー花屋役・川久保拓司の「オッパイおにぎりシーン」「股間からハンカチシーン」など、性的描写が過激という指摘は的を射ている。

 続けて委員長談話には、3つのことについて回答を要請したとある。「委員会の意見を受けて、社内でどのような議論と検討が行われたかを示してほしい」「今後このような問題を繰り返さないために、どのような体制やシステムを構築するか、再発防止策を示してほしい」「地上波の公共性に対する局側の認識を示してほしい」。

 上記3つの要請に対して、東海テレビからは誠実な回答があったとのことだが、誠実さを示すべく東海テレビがとった決断のひとつが、役員の処分だったということになる。

 それ以上のトラブルが持ち上がっているわけでもなく、とりあえずは一件落着といったところなのだろうが、なんとなく腑に落ちない思いを抱えている視聴者も少なくないはずだ。

 東海テレビは、今後おそらく昼ドラ制作の路線変更をせざるをえないだろう。現在放映中の『モメる門には福きたる』(出演:白石美帆・中村玉緒)に続いて、4月から放送予定の『白衣のなみだ』(主演:水野美紀)にも性描写があるとは思えない。清く正しいアットホームなドラマを、という観点から見ると大いにけっこうなことだが、果たして昼ドラのメイン視聴者である主婦層が求めていたのは、清い昼ドラなのだろうか? ドロドロ愛憎劇こそ昼ドラの真骨頂と、「続・幸せの時間」を求める声も、インターネット上では高まっている。

「東海テレビの、攻める姿勢が面白かったのに」
「限度はあるだろうが、何でも規制したらつまらない」
「BPOがこんなことすると、どんどんテレビがつまらなくなる」
 
 制作側も、視聴者のニーズにあわせた作品提供をしたいのが本音であろう。それが、今回の一件で、東海テレビが守りに入ってしまうとしたら、残念でならない。

 それにしても気になるのが、キー局であるフジテレビがおとがめなしという点。制作を担った東海テレビの役員陣ばかりが処分を受け、全国ネットで放送したフジテレビは一切責任を問われないのは、さながら今の日本社会を反映しているかのようで皮肉なものだ。

 イチ昼ドラファンである筆者としては、ほとぼりが冷めたら是非、ドロドロ・エロエロの愛憎劇を見たいと切に願う。
(文=菊池美佳子)

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