おろっ? これはアリなんじゃネ!?
彼女の顔は、女優の永野芽郁と若い頃の加藤紀子を足して2で割ったような感じ。顔だけでいうと文句無しで筆者のタイプだ。
これなら“おデブちゃん”と呼べるし、余裕でチンポも勃起するだろう。
しかし、気がかりなことがあった。それは、彼女の服装だ。
だぶだぶのズボンとぶかぶかのコートを着ていたアイリちゃん。己の体型を隠そうとしているのだろうか。
デブ体型なのは明らかなのに、それを助長するような服装を選んでいるアイリちゃん。もしかしたら本人はその事に気づいていないのかも?
そんな事を考えながら歩いていると、アイリちゃんと目が合ってしまった。
こうなったら覚悟を決めるしかない。
オッパイ、オッパイ、オッパぁぁぁイっ!!
頭の中をオッパイで埋め尽くし、それ以外の余計な事を考えないように切り替える。
「しょ、ショーイチさんですか?」
先手を取られてしまった。アイリちゃんは自信なさげにしていて、強張った笑みを浮かべていた。
あ、このコは分かってるんだなぁ…。
その笑顔を見て、彼女の気持ちが少しだけ理解できた。“私はデブなんだから、せめて愛嬌だけは良くしよう”そんな意志を感じとることができたのだ。
涙ぐましいではないか。
筆者と同じである。
不細工で早漏なんだから、せめて女性の嫌がることはしないようにしよう。常日頃から己をそう戒めている筆者だからこそ分かる心の機微というやつだ。
「待たせちゃったかな? アイリちゃんだよね?」
「はい。今日はわざわざありがとうございます」
ペコっとお辞儀してくるアイリちゃん。ここまで礼儀正しくされてしまうと、「デブだから帰る」なんて口が裂けても言えなくなってしまう。
「ごめんね。結構待ったのかな?」
「い、いいえ。私が早く着いちゃっただけですから」
「寒くなかった? 下の地下通路で待っていてもらって良かったのに」
「わ、私、あんまり新宿に詳しくないんですよ」
「あ。そうなんだ」
「はい。通勤の時に乗り換えで使うくらいなので」
「ま、立ち話もアレだから、少し歩きながら話そうか?」
「はい」
彼女を促し、地下通路を通って歌舞伎町方面に向かうことにした。
「ね、アイリちゃんはヒいてない?」
「え?」
「ほら、実物の俺って写真で見るより遥かにエロそうでしょ?」
「そ、そんなことないですよ」
「いやいやあるって! 少なくとも半径100メートル以内で俺よりスケベそうな顔をしてる人はいないと思うよ」
「ええっ、そんな風に見えないです。優しくて穏やかそうな顔してますよ」
「う、うん。優しいのはその通りだと思う。それに滅多なことで怒ったりもしないからね」
「はい。それじゃあ私の印象は間違ってないですね」
「でも、本当にスケベでエロエロなんだよ」
「フフフ、正直でいいじゃないですか」
「う、うん。ありがとう。それじゃあこのままホテルに向かうってことでいいかな?」
「もちろんです。あ! でも、ショーイチさんこそ私みたいなので大丈夫ですか?」
「当たり前だよ。さっきから俺の顔ってニコニコしてるでしょ? 嫌だと思ってたらもっと不機嫌そうな顔をしてるはずだよ」
「あ、ありがとうございます。嬉しいです」
彼女の表情がまた一段と明るくなった。
やはり女性は愛嬌が一番だ。相手の見た目に多少の弊害があっても、愛嬌が良ければ余裕で乗り越えられる。
世間話をしながらそのまま歩き続け、ラブホ街に入ってすぐの所にあるグレードの低いホテルにチェックイン。
部屋でふたりきりになったところで、エッチな会話に切り替える。