彼女と目が合ったので、わずかに口角を上げて笑顔を作ると、そのままゆっくり近づき声をかけた。
「シオリちゃんかな?」
「は、はい。そうです」
「さっきサイトで約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「こ、こちらこそお願いします」
「ここだと話しにくいから、ちょっと歩きながら話そうか?」
「はい」
こうして、線路沿いの道をホテル街に向かって歩き始めた。
微妙な距離を保ちながら、会話を再開させる。
「シオリちゃんは、よく池袋に来るのかな?」
「そうですね。月に数回くらい、買い物で来ますね」
「知り合いに見られたら大変だから、もう少し離れて歩こうか?」
「フフフ。これくらいの距離で大丈夫だと思います」
「それじゃあ、これ以上近づかないように気をつけるね」
「ありがとうございます。優しいんですね」
「い、いや。シオリちゃんが困るといけないと思って」
「気を使ってくれて、ありがとうございます」
「う、うん。ちなみに、シオリちゃんは俺みたいなので大丈夫?」
「えっ?」
「ほら、いまラブホに向かってるけど、嫌ならここで断ってもらってもいいんだからね」
「ぜ、全然大丈夫ですよ! それより、ショーイチさんのほうこそ私で大丈夫ですか?」
「もっちろんだよ。嫌だと思ったら声をかけずにダッシュして逃げてたよ」
「えっ、そんなことするんですか?」
「実際に逃げ出したことはないけど、無理だと思ったら正直にゴメンって伝えるかな」
「そうなんですか」
「それにほら、さっきから俺ってニコニコしてない?」
「は、はい」
「シオリちゃんが綺麗でエロそうだから、テンション上がってるんだよ」
「え、エロそうですか?」
「あっ、ゴメン! 言葉が悪かったね。セクシーって意味だよ」
「フフフ。ありがとうございます」
「それじゃ、このままホテルに向かうってことでいいんだね」
「はい。お願いします」
この時、筆者の懐具合はかなり寂しく、できることなら激安のラブホを選びたかった。
しかし、「ラブラブな感じで楽しみたいです(ハート)」というフレーズが頭から離れない。
下手にチープなホテルを選んだら、彼女のテンションがガタ落ちするかも…。そうなったら、
期待していたラブラブエッチが楽しめないではないか!
結局、中級クラスのラブホテルにチェックインした。