「それにしても、ずいぶん思い切ったことをしたよね?」
「えっ?」
「だって、俺のコラムを読んだその日に連絡してきたわけでしょ?」
「そ、そうですね」
「怖いとか思わなかったの?」
「い、勢いだったと思います。もしデートの約束が来週とかだったら、怖くなってキャンセルしてたかもしれません」
「そうなんだぁ。それじゃあ、今日会うことにして正解だったね」
「は、はい。お忙しいのにありがとうございます」
「でも、信じられないなぁ。U子ちゃんくらい可愛いかったら、いくらでも彼氏とか作れそうだけど」
「そ、そんなことないです」
「女性だらけの職場だから出会いがないとか?」
「そうですね。会う男性って、園児かその父親くらいですから」
「なるほどね。それじゃあ出会いは少ないよね」
「はい。それにコラムに書かれていたようなエッチってしたことがなくて…」
「えっ? 今までのエッチは残念な感じだったの?」
「そ、それなりには気持ち良かったですけど、どうしてもショーイチさんとしたくなって…」
「あ、ありがとう。その期待に応えられるよう頑張るよ」
腕を組んで顔を近づけながら小声で話す様子は、端から見ればカップルそのものだろう。
30歳近くも年下のコとデートできる喜びを噛みしめる筆者。目じりは垂れさがり、鼻の下もみっともないくらい伸びていたに違いない。
「やっぱり、たくさんペロペロされたいのかな?」
「は、はい。されたいです」
「コラムに書いてるみたいに?」
「そ、そうですね。たまたま最初に読んだのが、ショーイチさんと女性読者さんの話だったんですけど、あんな風にされたいです」
「了解! それじゃあ、U子ちゃんのアソコがふやけるくらいたくさんペロペロしちゃね」
「は、はい。お願いします」
こんなエロ話をしているうちにホテル街に到着。
いつも利用している中級クラスのホテルにチェックインして、部屋でふたりきりになる。
20分ほどおしゃべりを楽しんでから、別々にシャワーを浴びた。
ベッドイン直前に歯を磨いていると、ふと気づいてしまった。
「あっ! やっとわかった!」
「えっ?」
「U子ちゃんが誰かに似ているなぁって、会った時からずっと気になってたんだ。ほら、実写映画『ヤッターマン』に出ていたアイちゃん役のコに似てるって言われない?」
「えっ?」
「たしか、なんとかサキ…」
「もしかして、福田沙紀ですか?」
「そう! そのコそのコ!! 言われたことあるでしょ?」
「一度だけあります。でも、あんなに可愛くないですよぉ」
「いやいやあるって! 俺で二度目なんでしょ、言われたの? 福田沙紀に負けないくらい可愛いんだから、自信を持っていいよ」
「あ、ありがとうございます」
誰に似てるのか思い出してスッキリしたところでベッドイン。