フォーマットに若干のアレンジを加え、メールを送信する。すると、問題なく次の画面に切り替わった。15通に達していたら送ることができなかったので、ほっと一安心。
ファーストメールを送って5分、あっさりカナタちゃんから返信が届いた。
10人以上のライバルを蹴散らして勝利したことになるが、あまり喜べなかった。なぜなら、無事にメールを送信できた時点で半ば勝利を確信していたからだ。
勝利のポイントは2点。まず“5分後の待ち合わせでも、数時間後の待ち合わせでもOK”とアピールしたこと。向こうに都合のいい相手だと思わせたのだ。
こんなメールを受け取ったら、ほとんどの女性が会う候補としてピックアップするか、補欠要員としてキープしてくれるはずだ。
もう1点は、写メを送るとアピールしたこと。相手に言われてではなく、こちらから言い出すことで与える安心感は段違いなのだ。
この2点の他にも、“上から目線で話さない。メール文章内に相手の名前を入れる”といった細かいテクニックも必要なのだが、まさにそれらを駆使した結果の勝利だ。
そこから何回かメールをやり取りし、サクッと約束は成立した。
待ち合わせ場所は、歌舞伎町のドン・キホーテの前。人通りが多く待ち合わせには向いていないが、だからこそ、この場所を指定する女性も少なくない。見ず知らずの男性と会うには、人が大勢いるところのほうが安心できるのだろう。
そんなドン・キホーテの前で待つこと数分。あらかじめメールで知らされていた通りの服装の少女がやって来た。
ち、ちっちぇなぁ!!
身長は140センチ台前半くらいで、パッと見では中肉中背。どこにでもいそうな普通体型だった。遠目では中学生に見えないこともなく、夜の歌舞伎町ではやたらと目立っていた。
そんな彼女にゆっくりと近づいていき、顔を確認してみる。
おっ! なかなか可愛いじゃん!
カナタちゃんはタヌキ系の丸顔で、女芸人・いとうあさこを少し地味にした感じだった。尖った感じのキツネ顔が苦手な筆者にすれば、余裕でアタリの部類に入る。
こちらの焦りを見透かされないよう、落ち着いた口調で彼女に話しかける。
「こんばんは、カナタちゃんかな?」
「あっ、はい」
「初めまして。ショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。どうも…」
んっ? なんだこの反応の薄さは?
嫌な予感に襲われ、背中のウブ毛が逆立つ。
目の前に立つカナタちゃんは、愛想の欠片もなかった。
だが、なにしろ相手は18歳だ。緊張のせいで、無愛想になっているのかもしれない。
なんとか気を取り直し、努めて明るく振る舞うことにした。
「実物の俺って、こんな感じだけど大丈夫かな?」
「え?」
「ほら、写メ詐欺だと思ってたら、遠慮なく断っていんだからね」
「だ、大丈夫です」
「本当に? 顔パスされても怒らないから、無理しなくていいんだよ」
「ほ、本当に大丈夫です」
「ありがとう。それじゃあ、少し歩きながら話そうか?」
「は、はい」
前回は半年ぶりに人妻と再会した話だったが(※)、定期的に会っているセフレとはまた一味違って、実に気持ちのいい経験だった。2度目のデートということで新鮮味はなかったが、燃えに燃えまくってしまった。