【ネットナンパ】20代の“出会える系サイト初心者”をゲットしたものの…


 ほぼ約束の時間に、ユウナちゃんからメールで伝えられていた服装の女性を発見した。


ぐはっ!!


 その女性は、お笑いトリオ・森三中の黒沢のようなどっしり体型だった。


ただの偶然であってくれぃ!!


 たまたま同じ服装の、別の女性の可能性だってあるハズだ。しかし、周囲には他にそれらしき女性はいなかった。


でも、もしかしたら、ユウナちゃんの到着が遅れているだけかもしれないではないか!


 そんなことを考えながらその女性にチラチラ視線を送っていると、目と目が合ってしまった。こうなったら無視することはできない。

 ゆっくり近づいていくと、徐々に顔立ちがはっきり分かるようになった。彼女の顔は、1986年にデビューしたアイドル・島田奈美をずっとずっと地味にした感じだった。

 決してブサイクではないが、なんだか負のオーラが漂っていて、あまりお近づきになりたくないタイプに思えた。

 ふたりの距離が数メートルにまで近づくと、その女性は筆者の目を見ながら会釈してきた。

 筆者も服装をメールで伝えていたので、彼女もこちらを認識したのだろう。


よしっ! 今日は罰ゲームデーだと思うことにしよう!!


 回れ右してダッシュでその場を後にすることもできたが、覚悟を決めて話しかけることにした。


「こんばんは、ユウナちゃんかな?」

「は、はい」

「さっき、【ワクワクメール】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」

「は、はい。こちらこそ…」

「じゃ、このままホテルに向かうってことでいいかな?」

「は、はい」


 我ながらなんて分かりやすい反応なのだろう。可愛いコや綺麗な女性が相手だとペラペラよく動く舌が、そうでないケースの場合は、めちゃくちゃ重くなってしまうのだ。

 彼女の歩調に気を配りながら、常に半歩先を歩いてホテル街に向かう。

 このまま余計な気を遣わず、さっさとやることだけやって終わりにしたいものだ。しかし、無言のまま事を運ぶのは、それはそれで気疲れしてしまう。仕方なく歩調を緩め、会話することにした。

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