「こんばんは、サチちゃんかな?」
「あっ、はい」
「さっき【PC★MAX】で約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「は、はい。こちらこそお願いします」
いつもなら、ココからテンションアゲアゲで盛り上げるのがトコショー流だ。しかし、どうにもエンジンがかからない。
「じゃ、行こうか?」
そう声をかけ、ホテル街に向かって先導する筆者なのであった。
だが、ホテル街までの道のり数分をずっと無言でいるわけにもいかない。これも修行の一環だと割り切り、世間話することに。
「サチちゃんは、今彼氏とかいないの?」
「はい。今はいないです」
「そっかぁ。それじゃあエッチも久しぶりなのかな?」
「そ、そうですね。三か月ぶりくらいです」
「そ、そっかぁ…」
彼女にまったく興味が湧かないので、会話が続かない。しかし、ここで彼女の書き込み内容を思い出す筆者。そう、彼女は年上の優しい男性を求めていたハズなのだ!
それを叶えてあげないのは、男としての矜持が許さない。ここで踏ん張らなくてどうする!!
「でも、その気になればスグに彼氏とかできそうだよね」
「えぇッ!? そんなことないですよぉ」
「そんなことあるって! 俺の近くにサチちゃんみたいなコがいたら、絶対放っておかないけどなぁ」
「それは褒めすぎですって。私なんて全然ですから」
「ちなみに、今まで彼氏は何人くらいいたの?」
「んー、そうですねぇ。5人くらいですかね」
「ほら! やっぱりモテモテじゃん!」
「そんなことないです。なんか断れない性格なので…」
「そうなんだぁ。あっ! でも、今日は俺のほうから無理強いはしないので安心してね」
「えっ?」
「俺ってば、女性の嫌がることが絶対にできない性格なんだ。だから、とにかく安心してほしいな」
「フフフ、優しいんですね」
「ま、まぁ、それくらいしか取り柄がないからさ」