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こんにちは、サチさん。
都内の会社員、ショーイチ・38歳です。
まだ仕事中なんですが、偶然サイトでサチさんの書き込みを見つけちゃいました。
優しいくらいしか取り柄のない私ですが、
是非サチさんと楽しい時間を過ごしたいと思ってます!
お返事いただけたら、私の写メを送信するので、
それを見てから決めてもらっても構いません。
以上、ご検討のほどヨロシクです!!
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こんなファーストメールを送信したところ、10分ほどでサチちゃんから返信が届いた。そこからメールのやり取りを行い、アッサリとデートの約束が成立したのである。
現在筆者が愛用している出会える系サイトは、どこもポイント消費制となっている。女性の書き込みを見たり、メールの送信を行う度に、数十円ほどのポイントが減っていくという仕組みだ。
一人の女性と出会うまでに使用する総額はだいたい百数十円ほどだ。これを安いと見るか、高いと見るかは人それぞれだろう。
しかし、一昔前のテレクラやダイヤルQ2などと比べると、とんでもなくリーズナブルな金額なのである。
しかも、テレクラやダイヤルQ2では悪戯やドタキャンが日常茶飯事だったが、出会える系サイトでは100回に1回あるかないかくらいの確率でしかない。
あの当時は公衆電話からのアクセスが多かったので、悪戯やドタキャンが横行していたのである。だが、自分の所有物であるスマホや携帯からアクセスする女性が増えるにつれ、冷やかし目的が激減しているのだ。
本当にいい時代に、いい国に生まれたものである。これ以上の幸運を望むのは罰当たりというものだろう。
そんなことを考えつつ、待ち合わせ場所で待っていると、時間通りにサチちゃんが登場した。
び、微妙だなぁ、おい…
サチちゃんの第一印象は、料理研究家の浜内千波を少しだけ綺麗にした感じ。地黒の肌で、体型はかなりのスレンダーだった。
なるほど、どうりで“優しい男性限定”で会いたいと言っていたワケだ。ちょっと気の短い男性なら、チッと舌打ちしながら顔パスしていたことだろう。
だが、これ以上の幸運を望んでは罰が当たってしまう!!
そもそも筆者には、人様の容姿についてとやかく言う資格なんて皆無なのだ。
ヤれるだけ良し、ヤれるだけ良し、ヤれるだけ良し…
そう己に暗示をかけながら、覚悟を決めて彼女に近づき、声をかけた。