【ネットナンパ】写メで見つけたバックシャン

netnanpa0522fla.jpgIllustrate by ながおか

 皆さんはバックシャンという言葉を聞いたことがあるだろうか? アラフォー世代やアラフィフィ世代なら実際に使用した人も多いと思われるこのバックシャン。和製英語ってやつで、英語のバックとドイツ語のシャンが組み合わさっている。意味は、“後ろ姿の美しい女性”だ。

 今や死語となってしまったこのバックシャンという単語。もう使用することも思い出すこともないと思っていたのだが……。

 先日、筆者の愛用サイトの一つである【ハッピーメール】からメールマガジンが届いた。それはサイトに搭載された新機能のお知らせメールで、画像検索ができるようになったとのことだった。と、同時にメールの返信が無料となるサービスチケット発行のお知らせも記載されていたのだ。

 さっそくサイトに接続し、画像検索機能なるものを試してみた。都道府県を指定すると、写メを公開しながら掲示板に書き込みを行っている女性の一覧が書き込みを行った順に表示されるというものだった。似たような機能は、これまた筆者愛用サイトの一つである【PC★MAX】にも搭載されている。だが、この【ハッピーメール】の画像検索機能は【PC★MAX】に比べると写真のサイズがイマイチ小さい。それでも、ポイントを消費することなく無料で女性の写メを確認できるのはかなり有難い。

 そんな写メのサムネイルを眺めていると、気になる女性を発見した。全身が映る姿見の前に立ち、スマホを顔の前に掲げて撮った写メだ。顔は完全に隠れているものの、スタイルの良さが際立ていた。ミニスカのせいで綺麗な脚線美が露わになっていて、ウエストのくびれもじつにセクシー。このスタイルのいい女性がどんな書き込みをしているのか確認すべく、ポチっと写メのサムネイルを押すことにしたのであった。

 
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[タイトル]
ミニスカ好きな私です 
 
[内容]
よく足が綺麗だねって言われるので、ミニスカが好きになりました。
街でよくナンパとかもされるけど、やっぱり付いて行くのは抵抗ありますね。 
 
いま新宿で暇してるので、どなたか気軽に遊んじゃいません? 
 

[掲示画像]見る
[書込み日時]05/12 20:44
[受付メール数] 1/10 
 
クミコ さん
♀20代前半
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 ほほぅ、足が綺麗だと褒められ、よくナンパされるのか。これはもう行くしかないだろう。サクサクっとファーストメールを用意して、アプローチ開始だ。

 
———————–
こんばんは、クミコさん。
都内の会社員のショーイチ、34歳です。 
 
ちょうど私も新宿でヒマしてました。
そんなタイミングでクミコさんの書き込みを見て、ピンと来ちゃいました。 
 
良かったら今から楽しくお会いしませんか? 
 
詳しい内容とか条件を教えてもらえたら嬉しいです。
———————–

 
 5分もしないうちにクミコちゃんから返事が届いた。そして数通ほどのメール交換を経て、無事に交渉成立したのであった。

 彼女が指定してきたのは、靖国通り沿いにある「新宿マルイ メン」の前だった。ちなみに新宿にはその他にも「新宿マルイ 本館」だの「新宿マルイ アネックス」、「新宿マルイ カレン」、「新宿マルイ ワン」と複数のマルイが存在する。それゆえ混同しやすいので待ち合わせ場所には不向きと言えよう。だが、クミコちゃんは「靖国通りの新宿マルイメンの前で」と具体的に指定してきたのだった。これは、相当待ち合わせ慣れしているのかもしれない。

 待ち合わせ場所に先着した筆者は、道行く女性を眺めながらイメトレを開始した。だが、近くに立っていたガテン系の野郎数名が煙草を吸っているのが気になって仕方がなかった。そこはもちろん喫煙場所でもないし、新宿区内は路上喫煙禁止区域だ。こういう馬鹿な野郎がいるせいで、マナーを守りつつ煙草を愛する我々まで肩身の狭い思いを味わっているのである。こんな時、筆者はいつも脳内でスタンドを発現させ、時を止めた世界で馬鹿どもに正義の鉄槌を喰らわしているのだ。

 そんな死ね死ね電波を発していると、ほぼ待ち合わせ時間通りにクミコちゃんがやってきた。

 
 
 
 
 ひでぶっ!
 
 
 
 
 スタイルは確かに写メ通りだった。ミニスカからスラっと伸びた脚もじつに美味しそうでセクシーだ。だが、顔が残念すぎたのである。元女子プロレスラーで現タレントの北斗晶みたいな顔だった。目を閉じているのか開いているのかわからないくらいの細い目、存在感がありすぎる大きな鼻と立派すぎる輪郭だ。正面から見たら、絶対にナンパしようとは思われないだろう。

 だが、そのスタイルの良さゆえ、背後から声をかけられることが多そうでもある。掲示板の書き込みでよくナンパされると書いていたが、その意味で決して嘘ではなさそうだ。まさにバックシャンってやつだろう。

 顔面偏差値Fランクの筆者が、女性の容姿にアレコレこだわるのもチャンチャラ可笑しい。この程度の女性であっても、股を開いてくれるのなら余裕でウエルカムだ。

 
「こんばんは、クミコちゃん?」 
 
「あ、はい」 
 
「ハッピーメールで約束していたショーイチです。今日はよろしくね」 
 
「あ、こちらこそ」

 
 ペコンと頭を下げ、笑顔で答えてくれるクミコちゃん。うむ、やはり女は愛嬌である。この笑顔を見た途端、先ほど感じた残念感が霧散したのであった。

 
「じゃ、早速だけど向かおうか?」 
 
「はい」

 
 阿呆ヅラを晒しながら煙草を吸っている連中を尻目に、ホテル街へと向かう筆者であった。

 
「ね、クミコちゃん。マルイメン前でよく待ち合わせたりするの?」 
 
「え? どうしてですか?」 
 
「いや、あそこを待ち合わせ場所に指定する娘って珍しいからさ」 
 
「そうなんですかぁ。私の場合、職場が近いからあそこが丁度いいんですよ」 
 
「なるほどね、そういうことだったんだ」

 
 ここで詳しい職場の場所を聞くのは野暮ってもんである。その後も当たり障りのない会話をしながらホテルに到着。ホテルは当然のように激安クラスを選択した。

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