側室をはべらせ、大奥を構築!? 殿様フォロアーとは

 大河ドラマ『江 姫たちの戦国』が、いよいよ佳境に入ってきた。放映開始当初は脚本や歴史観、キャスティングに対する否定的な声も多々聞かれたが、ヒロイン・江が、三人目の夫となる徳川秀忠に嫁ぎ、ここからが面白くなるところだろう。

 ところで、この徳川秀忠という人物、ドラマ内での取り上げられ方は別として、歴史上では父・家康や息子・家光に比べると、なんとなく影の薄い存在である。有名なエピソードといったら、当時としては珍しく、側室を持たなかったということくらい。江戸幕府の将軍ともなれば、幾人もの美女をはべらすことも可能だったろうに、愛妻家だったのか恐妻家だったのか、秀忠が妾を置くことはなかった。このように、江戸幕府・二代将軍ですら側室を持たなかったというのに、一夫一婦制の現代において、側室をはべらそうとする輩がいるから困ったものだ。

 側室を持つといっても、現在の婚姻制度では当然認められていない。では、彼らはいったいどのようにして側室を持とうというのだろうか。生粋のプレイボーイで、本命のカノジョ以外に浮気相手が多数いる男性のことではない。彼らはなんと、Twitter上で側室をはべらせ、殿様気分を楽しんでいるのだ。

 フェイスブックやカカオトーク、さらにはメッセージボトルやドキドキ郵便箱など、ネット上で他者と繋がる方法はいくらでもある時代。とはいえ、次々と登場するSNSやアプリを使いこなせず、結局はTwitterが最も単純で使いやすいと考える人は多いだろう。といわけで、Twitterに的を絞ってみよう。Twitterには、特定のユーザーに宛ててツイートすることの出来るリプライという機能があるのだが、「@~、@~」のように、一度に複数名の女性に対して「おはよう」「おやすみ」などとツイートする男性がいる。送る側は、手間が省けてラクチンなのかもしれないが、受け取る女性側の反応はすこぶる宜しくない。「アタシはその他大勢の1人か?」「アタシはお前の側室ではない!」と、怒り心頭なのだ。

 リプライ以前の問題として、プロフィールで既に殿様気取りの者もいる。「相互フォロー100%」まではいいとしても、「男はフォローしません」と、謎の持論を表明している、大奥構築タイプである。フォローとは、相手のツイートを自分のタイムラインに表示させる機能のこと。もちろん、男性をフォローしようが女性をフォローしようが各自の自由だが、わざわざプロフィールに書くようなことではないだろう。「俺は、自分のフォロアーを女性だけで固め、大奥を構築したいから、男は絡んでくれるな!」ということなのだろうか。

 上記のように、側室をはべらせたり大奥を築こうとするタイプもどうかと思うが、かといって謙虚すぎる男性もウケがよろしくない。女性からリフォローがあった際に、リプライ機能やダイレクトメッセージ機能を用いて「フォローありがとう」とご丁寧に送る男性は、「面倒なヤツ」と思われてしまう可能性が大である。本人はマナーのつもりかもしれないが、「まさか、リフォローした人全員に返しているのか? ヒマ人め!」と解釈されてしまうこともある。加えて、「フォローありがとう」と同様に「フォローさせて頂きました」も、同じく不要と考えていいだろう。

 謙虚すぎず、なおかつ殿様のような振る舞いも控え……等々、注意点が多くてへきえきするという人もいるだろう。しかし、ここは大奥でもなければ、現代の法律には側室制度もない。一夫一婦制を貫いた徳川秀忠を見習い、殿様ツイートは自粛するようにしたいものだ。
(文=菊池 美佳子)

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