検証「AKB48江口愛実騒動」でソンをした人・トクをした人

akb_eguchi0621.jpg※画像は「江崎グリコ」公式HPより

 江崎グリコ「アイスの実」のCMキャラクターに起用されたAKB48の新メンバー・江口愛実が、メンバーの顔を合成したCGキャラであることが公式発表された。江口の登場はネット上を騒がせただけでなく、各ワイドショーやスポーツ新聞、週刊誌などでも大きく取り上げられ、賛否両論ながら間違いなく話題性はあったと言える。

 AKBの総合プロデューサー・秋元康氏(55)の仕掛けにファンからマスコミまでが踊らされたと言える形だが、総選挙に続けて大きな話題を提供することで、人気に陰りが見え始めたと言われていたAKBの存在感を再び示す起爆剤になったと言えるだろう。

 だが、今回の”グリコ江口事件”は決してトクをした人ばかりではない。

 江口をCMに起用した江崎グリコには、ネタばらしをする以前からマスコミや一般人からの問い合わせが殺到し、同社広報は「今はお話できません」という苦しい言い訳に終始した。CGであることが公表された後も、同社のお客様センターには数十件の意見が寄せられ、「ファンをだますようなやり方はよくない」「CGということをもっと早く伝えてほしかった」という批判が多くあったという。

 ネット上では「話題にはなったけど、あのCMを見て『アイスの実』を買おうとは思わない」「グリコが信用できなくなった」という書き込みも多く見られ、グリコ商品の不買運動まで起きているという情報もある。そのせいか、13日には860円ほどあった株価が、ネットなどで騒動になった16日から下がり、17日には824円まで下落、現在は848円ほどまで盛り返しているが、この変動に江口騒動が大きく影響していることは想像に難くない。商品をアピールする大仕掛けに乗ったグリコだが、多額の広告費を掛けても宣伝効果に疑問符がつくばかりか、企業イメージまで下がってしまったと言えそうだ。

 また、江口のお披露目第1弾の場となった「週刊プレイボーイ」(集英社)も株を下げたと言われている。同誌は表紙&グラビアで江口を掲載し、「秋元康が絶賛する”究極”の超大物新人」という触れ込みで大々的にアピール。翌週号でネタばらしをしたが、「メンバーのパーツを集めたCGガールだったのだ!」といった今さら感の漂う内容でAKBファンのみならず読者をもシラけさせてしまった。 

「江口の表紙&グラビアは、記事というよりも企業広告と言えるものでしょう。企業や代理店から広告費を受け取り、通常の記事の形態で商品をPRする『記事広告』は雑誌業界で珍しくなくなっていますが、今回は読者をだますようなやり方なので信頼をなくしますし、あまりにも大々的にやり過ぎた。表紙からグラビアまで企業の広告を掲載しているようなものですから、時には企業や代理店を批判しなくてはならない立場のメディアとしての意義を完全に失っています。出版不況で苦しいのはどこも同じですから、多額の広告費を提示されれば、話に乗っかってしまうのは分からなくもないです……」(出版関係者)

 一方、この騒動でトクをしたのは誰なのか。

「江口騒動を主導したのは某大手広告代理店。グリコから広告費はたんまりと出ているでしょうし、十分にトクをしたと言えるでしょう。秋元氏もしっかりとカネは受け取っているはずですし、自身のヒットメーカーというイメージとAKBの存在感も示すことができた。結局はファンやマスコミ、グリコも含めて、秋元氏と代理店にいいように利用されたのかもしれませんね」(広告代理店関係者)

 とはいえ、今回の騒動で「運営側にバカにされている」と感じたファンも多く、一時的には話題になり企業からの広告費を得られたとしても、長期的に見ればAKBの人気に影を落とすきっかけにもなりかねない。AKBを餌にした金集めに必死な周囲の大人たちよりも、懸命に頑張っているメンバーたちこそ報われてほしいという気持ちは、ファンの共通の思いではないだろうか。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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やっぱり”ここ”にいなかった。

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