ユーザー心理の変化? 萌え系イベント盛況の裏で音楽イベントには閑古鳥の悲哀

mito.jpg「コみケッとスペシャル5イン水戸」公式ページより

 3月20、21、22日の三連休に茨城県水戸市で行われた同人誌即売会「コみケッとスペシャル5イン水戸」が大盛況だったと、話題になっている。岡山で開かれた「おかやまB級グルメフェスタin津山」なども10万人以上が押し寄せ大盛況だったそうだ。これらとは逆に、幕張での音楽イベント「GO! FES」は大惨敗。一体何が明暗を分けたのだろうか?

 水戸のコミケは、主催者側の集計によると、来場者は延べ3万3千人。当初の予想では2万人だったそうだから、大成功である。街には若者を中心とした「萌え」ファンがあふれ、彼らを誘導するスタッフが辻々で明るい声を出した。ホテルは満室状態で、土産店も大にぎわい。「まるで30年前の水戸に戻ったみたい」と、商店街の人たちからはうれしい声が多数聞こえたという。

 そもそもこうしたイベントは有明ビッグサイトや幕張メッセなどの大会場でやるのが普通。なぜ水戸なのかというと、地域振興がテーマのコミケの開催地をコミケ運営が募集し、複数の候補の中から水戸が選ばれたのだそうだ。東京からも比較的近く、偕楽園や映画などで使われる桜田門外の変ロケセットができたりと、コミケだけでなく観光もできる。そういう意味で選ばれたのだろう。ネット上でも「コミケ以外に観光もしたよ」といった書き込みが多数見られ、地方活性化の意味でもやった意義があったといえるだろう。

 こうしたイベントではタイアップ商品として”萌えイラスト”が書かれた食品などが売られることが多い。水戸でも「水戸納豆カレー」「桜田門外の変みるくまんじゅう」といったご当地モノが飛ぶように売れていた。そんな中、”ちょっといい話”もあったという。今回のイベントでは会場近くの商店街も多数参加していたのだが、コミケの客を当て込んで、地元の精肉店が鶏の照り焼きを大量に仕入れて販売したものの、人の動線から外れていたため、1日目には数10本程度しか売れなかった。それを見かねたあるコミケ参加者が、2ちゃんねるに「売ってるお婆ちゃんかわいそうだから買ってあげて」と書き込み。すると2日目にはお客が殺到、仕入れた2000本が完売し、さらに在庫を放出するも、コミケ終了前に完売したんだとか。1本300円でお茶もついてくるこの照り焼き、味もなかなかだったようで、「メチャクチャ美味かった。あれに茶がついて300円は安すぎる」と、食した人々は大満足。

 このコミケイベント、来年は水戸ではない場所で開催予定だそうだ。来年、コミケ特需で活性化する街はどこになるのか。全国で呼び込み争奪戦が予想される。

 一方、連休中には代理店や大手メーカー主導によるイベントも多数開催されたが、閑古鳥が鳴いたイベントもあった。

 中でも幕張メッセで20日~21日に行なわれた「GO!FES」という音楽イベントは大惨敗。出演アーティストは20日が青山テルマ・Perfume・FUNKY MONKEY BABYS・スキマスイッチなど9組、21日がUVERworld、GIRL NEXT DOOR、KREVA、JUJUなど10組で、名前だけを見るとかなり人気どころを集めている印象だ。なぜ客が入らなかったのだろうか。

 料金は一日6,900円と若干高めだが、1日でこれだけのアーティストが見られる、ということを考えると妥当な価格設定。ところが会場はガラガラで、特に二日目・21日の閑散ぶりは無残だった。21日の首都圏は朝から強風が吹き、飛行機や電車など交通機関がマヒするなど、大きな混乱が生じていた。しかし、同じ幕張メッセで行なわれたイベント「萌え博2010」は順当な客入りで、天候は言い訳にならない。

 同人誌やアニメ関連のイベントが掴んでいる客層と、今回の音楽フェスが見込んだ客層は大きく異なるだろう。前者は、自らが明確に「欲しい」と願うものに関しては、多少の出費は厭わない傾向があり、逆に後者は、ダウンロード販売で安価かつ手軽に購入できる音楽を好む層に、音楽フェスの楽しさを訴えかけるためのイベントだった。そう考えると、後者のイベントはまだ「始まり」でしかなく、主催したロッキング・オンの社長、渋谷陽一がブログで記した「今回のフェスは参加者がフェスというスタイルに慣れていない人が多かった。フェス前は正直、そうした参加者にフェスを学習して欲しいという発想があった」という言葉通りだ。

 だが、要因はそれだけではない。大手代理店やマスコミによる、特定のアーティストや流行のゴリ押しにイヤ気がさした人々が増えていることも大きい。最近でも、化粧品メーカーが”期待の新人”として奇抜なヘアスタイルの女性アーティストをCMに起用し、大々的に売り出した春の新商品があったが、前シーズンの商品よりも売り上げが10%落ちたという。視聴者は流行やスタイルの「押し売り」に薄々感づいているのかもしれない。
(文=高田コウイチロー)

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