映画やゲームなどの世界ではお馴染みの職業、”魔女”。物語の都合で不思議な力が誇張されて描かれるせいか空想上の存在のような気がしてしまうが、もちろん古くから現代に至るまで、魔女として暮らす人々は現実にいるのである。
昨年11月にオープンした「前世カフェ」は、そんな希少な存在である魔女と向き合い、前世からのメッセージを伝えてもらえる喫茶店だという噂。実際にお店へ行ってみた。
丸ノ内線・四谷三丁目駅から徒歩数分、雑居ビルが並ぶ路地に入ると、レンガ造りの小さな喫茶店の前に「前世カフェ ハーブティー+前世リーディング ¥2,000」の看板。店のドアを開けると、可愛らしい二人の女性から「いらっしゃいませ」と声がかかる。天乃みりさんと天乃ゆりさん、双子の魔女である。
――お二人は一卵性の双生児ですよね? たしかに似ていますけど、そっくりというほどでもないような。
姉・天乃みり(以下、みり) 前はよくそっくりだと言われていたんですけれど、このカフェを始めてからエネルギーの流れが変わったのか、どんどん似ていなくなってきちゃいまして……せっかく双子でやっているので、少し残念です。
――お二人の職業は魔女ということでよろしいのでしょうか?。
妹・天乃ゆり(以下、ゆり) 「職業が魔女です」って言うのはちょっと……って感じですね。親しみを込めたニュアンスで”魔女”って呼んでいただく分には大歓迎ですけど、職業としてはチャネラーとかセラピストと言ってもらった方がしっくり来ます。
みり 誤解しないでいただきたいのは、魔法の杖を振っておまじないをする魔女の姿も間違いではないんですが、本物の魔女というのはシャーマニズムや神道とも似た、自然と調和して生きる人のことです。そういう人のことは”白魔女”という言葉で表したりしますね。映画の『西の魔女が死んだ』に登場する魔女は、かなり現実に近いと思います。
――このお店では、前世を見ていただけるということですが?
ゆり 見るというよりは前世と交流して、そのメッセージをお伝えしています。
――悩んでいるお客さんが、救いを求めて来るお店なんですか?
みり 中にはそのような方もいらっしゃいますけれど、カップルで来て、二人の前世を見て欲しいなんていう方も多いです。難しく考えず、友達同士でも一人でも、フラッと気軽にお立ち寄りいただきたいと思っています。
ゆり カフェとセットで行っている前世リーディングは数分で終わるものなので、大きな悩みを抱えている方は、別途で長時間の個人セッションを予約していただくことも可能です。
――お二人はどういうきっかけで魔女になろうと思ったんですか?
ゆり 今思えば、小学生のころ図書室で『魔女になるための本』を読んで、姉妹で木の棒を振って遊んだりしていたのが第一歩でした。
みり ただ、実際には魔女なんていないと思っていたので、普通に進学して普通に働いていたんです。現実的になっていったのは、私はセラピールームの受付の仕事をしていたときです。そこの先生の勧めでセラピーの勉強を始めて、同時にサイキックやキャンドルマジックの勉強を始めたところからです。
ゆり 私は学校の先生として働いていて、生徒から悩みの相談などを受けることが多かったので、ヒーリングやセラピーを勉強し始めました。
みり それぞれ別々に頑張っているうち「二人で一緒にやる時期よ」というメッセージを受け取りまして……では二人で何ができるのか、と考えてチャネリングを始めたんです。
――入り口はセラピーだったんですね。それで、チャネリングというのは?
みり 日本語では霊媒という言葉が近いんですが、チャンネルを合わせることで、他の世界とつながって情報を取ってきたりするんです。私たちがつなぐのは前世ですが、霊媒師の方が亡くなったおじいちゃんなどに話を聞くのと、考え方は同じです。
――それって、勉強してできるようになるようなものなんですか?
みり セラピーというのは勉強をしているうちに、自分と向き合い、余計なベールを一枚ずつ剥いでいく作業になるんです。最初の感覚でいうと直感が物凄く冴えてきて、迷いが少なくなる。先が見通せるようになる。
――視覚的な意味で前世が見えるようにもなる?
ゆり 見える人や聞こえる人もいるんですが、私たちはどちらかというと「感じる」力が強くて、頭の中に、映画みたいにイメージが湧くんです。ただ、実際、見ているうちに人の顔がずれていって、人種や性別から全然違う形になってしまうことなどはあります。最初は「あれ? この人、顔の骨格曲がってる!?」なんて戸惑ったりしていたんですが、意識してみたら間違いありませんでした。
――前世からのメッセージをいただく際に、知っておいた方が良いことなどありますか?
みり こちらで交流するのは、何代もある前世のうちから、いま最も重要なメッセージを持った前世なのですが、あまり「何が出てきたか」ということにとらわれないでください。本当に重要なのは、メッセージの内容です。
インタビューの後、記者は妹魔女・ゆりさんにリーディングを施してもらった。現れた前世であるネイティブ・アメリカンのメッセージに従い、この冬は自然の中で癒される時間を取ろうと思う。もし、この記事を読んで少しでも双子魔女に興味を持った方があれば、ぜひ足を運んでみてはいかがだろう。ぶっちゃけた話、男性ならばカワイイ魔女たちと向き合って過ごす時間自体にも癒しを感じるはずだから。
(取材・文=瀧昌臣)
生きることの素晴らしさを知る幸せ