39歳の妻子ある男が愛人関係にあった70歳女性を殺害した理由は…

ThinkstockPhotos-506440518.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

 昭和8年(1933)6月23日、東京・世田谷区の道端の草やぶで、50代くらいと思われる女性の変死体が発見された。警察の捜査の結果、遺体は岩手県に住む70歳の女性と判明。さらに、犯人は同じ県内に住む39歳の妻子ある男とわかった。

 被害者の女性は、20年ほど前に夫と死別。遺産を2~3万円ほど相続し、加えて遺族扶助料、現在でいう遺族年金が年額280円されており、生活には不自由ない状況だった。

 昭和8年に内閣統計局が実施した家計費調査によれば、全国10大都市のサラリーマン世帯の平均月収が約92円、労働者平均では同じく83円だった。つまり、月収100円、年収1000円以上といえば、かなり裕福だったと考えられる。白米10キロが2円でお釣りが来たころであり、一人暮らしであれば、月に30円もあればなんとか生活できた時代、2万円から3万円という遺産もたいへんに多額であった。

 一方、犯人の男のほうは、妻と3人の子供がいる身だった。中学(現在の高校に該当)卒業後、都内で工員などの仕事についていたが失業。仕事を失ったため妻の郷里である岩手県に移り住んだ。そして、事件が起きるおよそ1年前の昭和7年7月ごろ、被害女性と知り合ったものと思われる。2人はすぐに男女の関係となった。

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