とある平日の夕方のこと。渋谷で打ち合わせを終え、山手線に揺られながら出会える系サイトをチェックしていると気になる書き込みに遭遇した。
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終電まで遊びたい気分です(汗)
今日はこのまま帰りたくない気分です。
仕事帰りでお化粧も服も地味目ですが、裸になっちゃえば関係ないですよねwww
とくにリクエストはありませんが、お互いに思い会えるような優しいエッチが希望です。
あ! それと、イケイケ風の男の人は怖いのでゴメンナサイ。
5月2*日20時22分
受付メール数:0/5
♀ココ
28歳
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ご覧の書き込みは筆者トコショー愛用サイトの一つである【イククル】で発見したものだ。サイト内のヒミツ掲示板「すぐ会いたい」カテゴリーに投稿されていたものである。
仕事帰りのOLさんが突然発情して相手を探しているといった感じだろう。こういう女性とはガッツリとした肉食系のエッチが楽しめそうである。
そんなワケで片手で吊革につかまりながらポチポチっとファーストメールを書き始めたトコショー。
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こんばんは、ココさん。
新宿でWEBデザイナーをしているショーイチ、36歳です。
ついさっき仕事が終わったばかりなんですが、偶然ココさんの書き込みを拝見しちゃいました。
優しいくらいしか取り柄の無い私で、とにかく女性に尽くすのが大好きなんです。
そんな私ですが、ぜひココさんと素敵な時間を過ごさせてほしいです!
ご検討してもらえたら物凄く嬉しいです!!
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こんなメールを送信したところ数分も経たないうちに返信が届く。それから2通ほどのメール交換を行い、アッサリと約束が成立したのであった。
待ち合わせ場所はココちゃんのリクエストで、新宿区役所脇のドーナッツ屋さんの前。約束の時間5分前に到着した筆者だったが、そこには既にココちゃんらしき女性が立っていたのである。
さきほどメールで聞いた通りの服装なのでまず間違いないだろう。遠目からでも目の大きい可愛いタイプだと分かるほどのココちゃん。身長は150センチほどで全体的にホッソリしている体型だ。
そして黒のジャケットと黒のスカートというビジネススタイルの格好である。就職活動中の女子大生に見えなくもないほどだ。
顔の表情が緩まないよう気合を入れ、ゆっくりとココちゃんに近づいていき声をかける。
「こんばんは、ココちゃんだよね?」
「あ、はい! ショーイチさん?」
「うん。さっき【イククル】で約束したショーイチです。今日はよろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
なかなか愛嬌のある顔だ。例えるのなら女優の中田喜子の若い頃といったところだろうか。ドラマ「渡鬼」でお馴染の中田喜子だが、筆者にしてみれば彼女が19歳のころに出演していた「仮面ライダー」のヨッコ役の印象のほうが強い。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「いいえ、私も着いたばかりですよ」
「な、なんか明るいね、ココちゃんって」
「え? そうですか? 普通だと思いますよ」
「なんか楽しそうっていうか、物怖じしてないっていうか」
「あ、それはよく言われますけど、ショーイチさんが優しそうだから安心してるのかも」
「そ、そうかな。だったら嬉しいよ」
「うん。ホント、メールの印象通りですよ」
「いや、優しそうなのはポーズかもしれないよ。ホテルに行ったら豹変しちゃうかも」
「フフフ、そういうこと言う人って絶対に最後まで優しいんですよね」
「あれ、なんか経験豊富そうな感じじゃない?」
「え、そ、そうですか?」
「ま、とりあえず立ち話もなんだから向かおうか?」
「はぁい」