「こんばんは、ハルちゃんだよね?」
「あ! は、はい!」
「ごめんね。驚かせちゃって」
「い、いえ」
「さっき【ハッピーメール】で約束したショーイチです。今日はよろしくね」
「は、はい。ハルです。どうも」
「ほんとゴメンね。さっきメールもらって急いできちゃったんだ」
「いえ、こちらこそ急かしたみたいでごめんなさい」
「全然、気にしないで。喫煙所でタバコ吸ってただけだからさ」
挨拶もそこそこにホテル街へと先導しながら会話を続ける。
「あ、俺こんな感じだけど大丈夫?」
「はい。もちろんです」
「ほんと? 無理しないでいいんだよ」
「ふふ、メールのまんま優しそうですよね、ショーイチさんって」
「そ、そうかな? 俺としてはヤサシイというようりヤラシイ感じなんだけどね」
「フフフ、ショーイチさんこそ私でいいんですか?」
「もっちろんだよ!! さっきから俺ウカれてるのわからない?」
「んー、なんか楽しそうですけど」
「でしょ、でしょ? 普段はもっとムスっとしてるんだよ、こう見えても」
「へー、想像できないなぁ」
相変わらず軽薄なノリでペラペラと舌が動くトコショー。網にかかった獲物を逃すまいと必死なのである。
こうして無事にホテルに到着し、まずはハルちゃんが先にシャワーを浴びる。
手持無沙汰ではあったが、あえて一服しないトコショー。これも作戦のうちである。相手がシャワーから出てきて、「タバコ吸わないんですか?」と聞いてこようものならこっちのもんである。「タバコを吸わない娘と一緒の部屋で吸ったりしないよ」と優しさアピールできるからだ。
しかし、ハルちゃんはシャワーから出ると「お先にいただきました」と言っただけなのでこちらのコスい作戦は空振りに終わってしまった。
その後筆者もシャワーを浴び終え、ベッドイン開始。