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【自己発信するAV女優の「裸の言葉」】AV女優・中森玲子という自由


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20140217reiko10Z.jpgAVでは見せることのなかったナチュラルな笑顔で語る中森玲子さん。飾らない会話や赤裸々な主張に耳を傾けたとき、胸に秘めた熱い人間ドラマが浮かび上がってきた

 
「称賛の言葉なんて1円にもなりませんから、とにかく買って下さい」

 
 強烈でした。

 彼女、中森玲子さんの第一印象は、本当に強烈でした。2008年の残暑。新宿区役所裏にある喫茶室の前。約束の時間を20分ほど過ぎた時間が、私と彼女の初めての出会い。Hカップ爆乳に目鼻立ちのくっきり整った聡明な顔立ち。男女問わず誰もが思わず目を奪われる見事なルックスをひっさげて、コンビニの角を曲がった道に現れた、その艶やかな姿を今でも鮮明に思い描くことができます。

 恐縮顔で何度も頭を垂れるマネージャの肩越し、ツンと鼻っ柱を上にして、ちらりを私を見やった悪びれない顔も。

 驚くことしかできませんでした。なぜなら、その年の5月。AVデビューをしたばかりの彼女は、どこかあか抜けない笑顔で笑うぽっちゃり系美女。ふくよかな爆乳を賢明にアピールする姿が、私の目には『私の魅力に気づいてよ』と訴えかけているようにしか見えず、編集部に無理を言って取材をセッティングして貰ったのですから。

 それが開けてビックリの玉手箱。現れたのは、この短期間にどうやって身に着けたのかと感心するほど、大物女優をオーラを放つド派手な美女だったのですから。

 当時の彼女は30歳になったところ。うすっぺらな熟女専門誌のインタビューごときに、まだ日の高い時間から呼びつけられたこと、もしかしてご立腹でいらっしゃる!? な~んて言おうか言うまいか悩んだことも、今になって蘇ってきます。

 あれから5年半。こんな邂逅が待っているなんて予想もできませんでした。

 今、口角から漏れる苦笑をこらえながら見つめるその先。午後の日差しをいっぱいに受けたカワイイ喫茶店の中、江戸切子のコーヒーカップを楽しげに眺めながら「みほさん? よかったら2杯目も頂きましょうか?」と、優しく微笑む女性が、まさかあの同じ彼女だとは。

20140217reiko03.jpg※画像:チャリティー写真集より(現在は販売終了)

 さて、唐突に、個人的な記憶から始まった新コラム。一体何事かと思われた方も多いと思います。まずは筆者の自己紹介を。

 筆号は文月みほ。1998年6月、風俗誌で初仕事を頂いて以来、AV評からAV女優インタビュー、エロ漫画の原作やAVドラマのシナリオまで、膨大なアダルト記事を書きながら、東京の下町にこじんまりと生息するフリーライターです。

縁あってメンズサイゾーの編集長と懇意になり、サイトオープンから記事を書かせていただいているのですが、この度ようやく好き勝手を許していただける企画を頂戴することができました。

 この千載一遇のチャンスを逃してなるものかと、集中力タイマー3分切れのB型人間が、柄にもなく枕元にスマホをスタンバイし、夜な夜な思いついたことをメモに残しながら練りに練ったのがこの企画。敬愛するAV業界で息づく魅力的な方々と、形式ばったインタビューなんかではなく、もっと気楽にもっと熱っぽく語らった一部始終を書き綴っていくコラムなのです。

 テーマは『自己発信するAV女優』。魂と体を削って摩耗されて終わるだけだと思われがちなAV女優ですが、中には威風堂々と自己主張をする女優さんもたくさんいらっしゃいます。AV業界を16年見続けてきた私だからこそ伝えられることもある。そう教えてくれた中森玲子さんとの邂逅がきっかけで始まった企画なのです。

 では、そろそろ玲子さんの話題に戻りましょう。

 

20140217reiko09.jpg※画像:チャリティー写真集より(現在は販売終了)

 
 強烈な出会いを果たした玲子さんは、その後、その風格に見合った大活躍を遂げ、美熟女界を代表する1人となりました。シネマユニット・ガスという知る人ぞ知る爆乳マニアメーカーの専属女優としては異例の大出世で、昨年9月に引退するまでに、主演作、総集編を併せて900タイトルに及ぶ作品に出演するまでに至ったのです。

 彼女をそこまでブレイクさせた理由は、類まれなる爆乳美ボディともうひとつ。引退した今になって知ったのですが、彼女の中にあった大きな課題にあったのです。

 当時の想い出話に花を咲かせつつ、彼女のデビューのきっかけを改めてお聞きしました。

「私は、胸が大きいことによって若いころから男性にエロい目で見られることが多かったんです。でも、エロい目で見られることが本当にイヤでずっと隠しながら生活していました。でも好きな男性ができると変わってしまったんです。今度はエロい目で見て欲しくてたまらなくなって…」

 その葛藤がやがてエロへの探究心に変わっていったと真面目な顔で話す彼女は、デビュー秘話をこう続けました。

「こんな話をしたら笑われるかもしれませんけど、当時は真剣に『最高のセックスとはなんだろう?』と考えるまでになっていたんです。そんな時でしたね、AV女優にならないかと声をかけられたのは。しつこいスカウトマンがいたんですよ。最初は相手にもしていなかったんですけど、ふいにAV界になら、その答えがあるんじゃないかと思って……。みほさんと出会った頃は、一番その想いが強くなっていた時だと思います」

 ギクリとしました。初対面の印象を赤裸々に伝えすぎた私にも非があるのですが、彼女の満面の笑みの中央、瞳の奥は少しも笑っていなかったのです。

 

20140217reiko20.jpg※画像:チャリティー写真集より(現在は販売終了)

 
「人間誰もが、真面目な部分と不真面目な部分を持っていると思います。特に私はその差が激しく、それが心のひずみになっていました。でも、デビュー当時の私は、自分の中にある大きなひずみに気づいていなくて、ただ真面目に、今思うとかなり必死に『最高のセックス』を探していたんです」

 その顔が他人の目にはキツく映ったのだろうと彼女は笑いました。今度は、本当に滑稽だという顔で。

「でも、結論から言って『最高のセックス』なんてものは最初からなかったんだと知りました。頑張って探していたんですけどね。だから、きっぱり引退したんです。失望はしていません。でも、もう続ける意味はないと思って身を引いたんです」

 なんという男前! 自分が意を決して選んだ道にゴールがないと知った今、ここまで聡明な顔で笑える男が今の世に一体何人いますか? こんな彼女のパワーにきっと世の男性たちも惹かれていき、ブレイクに至ったのだと確信したのです。

 そんな彼女ですが、たった一つだけ心残りがあると言います。そして、その原因となったものが、私と彼女を再会させることになったのです。

「みほさんに、会って欲しい人がいるの。相談にのってあげて」

 

20140217reiko17.jpg※画像:チャリティー写真集より(現在は販売終了)

 
 彼女との再会の一端。その糸を結んでくれたのは、美熟女AV女優の翔田千里さんでした。翔田さんといえば、美熟女AV界の礎を築き、今もなお精力的にAV界を盛り立てているカリスマ女優。それだけではなく、かつて雑誌の企画で私を逆インタビューの相手に指名してくださった特別な存在なのです。断る理由が見つからないどころか、光栄すぎて、締切りを慌てて終わらせ、新宿アルタ裏のカラオケボックスにすっとんでいたのが昨年の11月でした。

「初めまして。お忙しいのに本当にありがとうございます」

 翔田千里さんと折原ゆかりさんの合間、狭い部屋をかき分けてソファーに腰を下ろした時、入れ替わりにシーソーのごとくピョコンと立ち上がり申し訳なさそうに頭を下げたのが玲子さんでした。

「いえいえ、デビュー直後にお会いしてるんですよ」

 軽く笑いながらそんな挨拶を交わし、ふと時計を見ると約束の時間から1時間と20分が過ぎていました。遅れたのは、今度は私の方でした。

 汗を拭いながら並んで腰を下ろし、5年半ぶりにお会いした彼女に面と向かった時、ほんの少し緊張ぎみの彼女に首をかしげました。ツンとあがった鼻先はいずこ? 引退イベントを終え、肩の荷を下ろしたばかりだったからでしょうか。あまりにも穏やかで、いい意味で普通のお嬢さんようにも見え…。

 やがて納得。一言、二言と言葉を交わすうちに彼女の『5年半』は私の『5年半』とは全く違うスピードで過ぎていったのだと理解するに至りました。

 

20140217reiko02.jpg昨年末に行われた【Rouge Allier】ラストイベントにてファン代表から卒業証書が手渡され感無量の笑顔を浮かべた玲子さんに惜しみない拍手が降り注ぐ。
20140217reiko.jpg北条麻妃さんと深めた絆は引退後も失われることはない!!

 
 これを読んでいる方の中にも、ご存じの方はいらっしゃると思います。彼女は、東日本大震災の後、AV業界で最も早くチャリティー活動を開始したAV女優さんでした。震災の日が3月11日。そのわずか10日後に、AV女優によるチャリティープロジェクト【pink Strings】立ち上げ、全額募金システムのダウンロード写真集を販売。当然、私も遠巻きにそれを知っていて、彼女が中心となり美熟女優さんを集めたチャリティーイベントを開催したことも知っていました。けれども、取材するタイミングを失ってしまい、いつの間にか彼女の善行さえも忘却のかなたへ─。

「終わらせたくないんです。ファンの方にも望まれていて。どうか、手元にある写真データを使って1冊の本にできないでしょうか?」

 その言葉を聞くまでは。

 「力になってあげて」と私の肩を叩いた翔田さんと折原さんの瞳がみるみるうちに潤みだし、大粒の涙となって食べかけのフライドポテトの上に注いでいったとき、ハッとしたと共に、私は愕然としました。AV女優を取材した数は500人以上。AVライターの中でも多い方だという自負があったのに、本当はちっとも彼女たちの真の声を拾い上げようとしていなかったのだと知らされた気がして。

「難しいのは分かっているんです。現役女優でさえ写真集が売れない時代に、引退した女優が今さら遅いってことくらい。でも、どうしてもやり残した気がして…」

「できないかな?」

「何とかしてあげて欲しいの」

 重たい空気が私の喉を塞いでから1分が経過。2分、5分、10分…。

「まずはやれることを探してみましょうか?」

 湿っぽい酸素を吸いこみながら、私はわずかに救われた気分になりました。【pink Strings】プロジェクトがきっかけでスタートした、美熟女女優によるエンタテインメントユニット【Rouge Allier】のラストイベントに、彼女も参加する話を聞き、滑り込みで“中森玲子の本当のAV女優最後の日”を取材する機会を得たからです。ちなみに【Rouge Allier】とは、北条麻妃さん、村上涼子さん、五十嵐しのぶさん、そして、玲子さんを加えたAV業界初の事務所の壁を越え女優自らが企画して発足した奇跡のユニット。2012年4月にスタートして以来、美熟女ファンの交流の場として親しまれつつも、昨年12月で解散となった今は幻のチームです。



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