業界チェック率が異常に高い『オールザッツ漫才』、いよいよ関東でも生放送!

1227allthat_main.jpg※イメージ画像:『オールザッツ漫才 20周年記念 永久保存大全集!! 激闘バトル編』よしもとアール・アンド・シー

 2013年も残りわずか。テレビ業界的には、今年はドラマから『新語・流行語大賞』が2つも飛び出す当たり年だった。TV離れが叫ばれていた昨今に比べ、明るい兆しが見えた1年と言ってもいいのではないだろうか。

 それに引きかえ、寒かったのはお笑い界。一時は隆盛を誇ったネタ番組は完全に消滅し、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)を代表として『リンカーン』(TBS系)など、長年続いたバラエティー番組の打ち切りも次々と発表された。そんな2013年も終わりに近づいた頃、お笑い関係者の心をざわつかせる1本のニュースがテレビ関係者の間を駆け抜けたという。

「『オールザッツ漫才』(MBS)が関東でも生放送される!」

「『オールザッツ漫才』とは、20年以上も関西地区だけで放送されている年末恒例のネタ番組です。完全に吉本芸人だけの祭典といった感じで、客席に芸人が座って仲間に囲まれながら進行をする番組で、テレビ的ではないかなり攻めたネタが多く見られることで知られています。深夜に5時間近く生放送を行うので、内輪ネタも多くてかなりダラダラした空気になるんですが、それが関西的というか、人気になっている要因。毎年、深夜にも関わらず高視聴率を記録しており、DVD‐BOXもローカル番組とは思えないような売り上げを記録しました」(某在阪テレビ関係者)

 20年以上続く人気老舗番組『オールザッツ漫才』。しかし、この番組に注目しているのは一般視聴者だけではない。関東にいる業界関係者も、毎年チェックをしなければいけない仕事の一つだという。

「絶対に見るようにと、会社からテープを渡されるようになったのが5年くらい前からだと思います。この番組キッカケで翌年にブレイクする芸人が出てくるので、先に情報を持っていないと、春以降の番組の台本が書けないんですよ。だから、ほとんどの作家やディレクターは見ていると思います。仕事熱心な人は、そのためだけに大阪まで足を運んでホテルで見ているらしいですから…。まぁ、逆に言うと、この番組を見ると翌年、吉本さんが推していきたい芸人がわかるので、こんな確実な資料はないですよね」(某在京放送作家)

 レイザーラモンHG、サバンナ・高橋茂雄(犬井ヒロシ)、なだぎ武(ディラン)、天津木村(エロ詩吟)、レギュラー、藤崎マーケットなど、この番組でネタをおろしたのをキッカケに、出世した芸人は数知れず。『THE MANZAI』(フジテレビ系)や『キングオブコント』(TBS系)と違い、一発ネタで世に出ることができるため、若手にとっては最良の番組といえるだろう。実際、近年では東京吉本の芸人も、この番組のために大阪まで出向いている。その分、力がしっかりつく前に売れるため、長続きしない一発屋が量産されるのだが…。

「この番組から『エンタの神様』(日本テレビ系)や、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)に芸人を出演させるのが王道でした。今は年明けに放送される『今年も生だよ!芸人集合 笑いっぱなし伝説』(テレビ東京系)や、『さんまのまんま』(フジテレビ系)で今田耕司さんが注目の若手芸人を紹介するコーナーに各芸人が運ばれて行くのが定石。マッチポンプが上手な吉本だけはありますよね(笑)。ただ、最近はネタ番組自体も減っているし、視聴者も“キャラネタ”を受け付けなくなってきた。これからは、どうなっていくのか…」(同・在阪テレビ関係者)

 では、なぜブームの時にスルーしておきながら、今さらTBSは『オールザッツ漫才』を放送することになったのだろうか。

「TBSらしく、ただタイミングを逸しただけですよ(笑)。MBSとは系列局とはいえ、昔トラブルがあったとかで仲が悪いのは有名な話ですからね。あそこは、つまらないプライドにこだわっていつも損をするんですよ。TBSはローカル局には頼りたくないというのもありますし、偏重報道なところがあって、お笑いを軽視してるんで」(同在京放送作家)

 それに比べて、MBSは在阪の局の中でも吉本の信頼はかなり厚いらしい。古い話だが、ダウンタウンの出世番組『4時ですよーだ』も、現在明石家さんま唯一の関西でのテレビレギュラー『痛快!明石家電視台』もMBSが制作している。

「TBSも、古い遺恨やプライドにこだわっていられない状況になったということじゃないですか。『半沢直樹』がヒットしたからと言っても、相変わらずテレビ事業は火の車。局で人気芸人を抱えたいと思うのは、自然な話かなと思います。ただ、もう10年早く気づいていたらね(笑)。まあ、僕たちはこれで、再びお笑いブームがくれば仕事が増えるので、うれしい話ではあるんですが…」(同在京放送作家)

 お笑い界の命運をかけて、今夜放送される『オールザッツ漫才2013』。その中で輝く芸人が出てくるのかどうかも楽しみだが、翌日の視聴率や、関東でも果たして話題になるのか? といった点など、いろんな興味を持って5時間を楽しもうと思う。
(文=浅野 悠)

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