ネットに嫌われるフジテレビ、ボーカロイド歌謡祭で巻き返し狙う!?

vocalo0403.jpg※イメージ画像:『EXIT TUNES PRESENTS Vocalosensation
feat.初音ミク』
エグジットチューンズ

 地上波初のボーカロイドに特化した音楽番組『ボーカロイド歌謡祭 2013(春)~初音ミクから生まれた新たな音楽の世界~』が、4月6日深夜26時10分からフジテレビで放送される。制作には「ニコニコ動画」の運営などで知られるドワンゴとニワンゴが協力し、司会にはフジの仮想アナウンサー「杏梨ルネ」が登場。ボーカロイドの代名詞となったバーチャルシンガー「初音ミク」を中心に、現在のボーカロイドシーンを紹介しながら、ボーカロイドによるライブも放送する1時間番組となっている。

 番組を知ったネットユーザーからは「楽しみ過ぎる!」「絶対に録画する」「ボカロの地上波番組ができるとか胸熱」などといった声が上がっている。その一方で「フジテレビがネットにすがってきたか」「今さら感があり過ぎ」「ネットで見れるものをテレビで視聴する意味が分からん」といった冷めた意見も数多くあり、ネットユーザーから歓迎されているとは言い難い状況だ。また、フジが韓流を異常なまでにゴリ押ししていたことを引き合いに出して「ミクにK-POPを歌わせる気じゃ…」「フジに関わったらミクの人気も落ちそう」といった心配の声まで上がっている。

 フジは先月末、芸能人たちがネット上で人気の心理サバイバルゲーム『人狼』をプレイする番組も放送している。かつて、ホリエモンこと堀江貴文氏が「ネットとテレビの融合」を掲げてフジの放送事業への参入を画策した際には、ホリエモンの言い分を突っぱねたフジであるが、ここにきてネットへの擦り寄りとも思える態度を示すようになってきた。この裏には、フジの凋落ぶりが関係しているようだ。

「かつては視聴率3冠王の常連として“メディアの王者”と呼ばれてきたフジですが、一昨年に日本テレビに視聴率3冠王を奪われ2位に転落し、昨年はテレビ朝日にも抜かれ3位。今年に入ってからは、TBSにも抜かれて民放4位にまで落ちたことがあった。バラエティーをやってもドラマをやってもダメという悲惨な状態。予算の削減も進んでおり、制作側は『低予算で出来る面白い企画はないのか』と血眼になっている。その中で発展著しいネットコンテンツに白羽の矢が立ち、実験的に深夜帯で番組化することになったようです」(テレビ局関係者)

 ひな壇にタレントを並べた似たような番組ばかりが横行する中で、ボーカロイドをはじめとしたネット系コンテンツはテレビ的には目新しさがあり、ネットで既に人気を獲得しているという実績もある。タレントを使うよりも予算が節約できる面もあり、フジは自社企画よりも期待できると考えているのかもしれない。

 だが、フジはネット上で好かれているとは言い難く、それどころか完全に嫌われているといってもいい存在だ。ニュース系サイトが実施した「嫌いなキー局」のアンケートでも、フジが票全体の約3分の2を獲得して断トツのトップになっている。過去には、韓流ゴリ押しに反対するデモ活動がネット発で発生し、フジのYouTube公式チャンネルが炎上したこともあった。ボーカロイドに関しても、一昨年に『笑っていいとも!』で有名ボーカロイド曲を無許可で使用し、炎上騒動に発展している。

 決して良好とは言えないフジとネットの関係。ネットコンテンツに目を付けたフジが暴走することも心配されているが…。

「フジに限らず、旧来のメディア関係者はネットコンテンツに対する敬意が欠けている面がある。昨年、小室哲哉が初音ミクとコラボしたアルバムが発売直前までソフトの開発元に無許可で話が進み、開発者が抗議してから発売元のエイベックスが正式に使用申請するというお粗末な騒動もありました。フジとしては、活気のあるネットコンテンツを取り込みたいのでしょうが、旧メディア的な上から目線の態度が変わらない限り、今後もトラブルの懸念は残ります」(IT系ライター)

 敵視していたといってもいいネットにすがるほど凋落してしまったフジ。今後はネットとも良好な関係を築いていきたいところだろうが、ボーカロイド番組で下手を打って余計に嫌われるようなことがないようにしてもらいたいものである。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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