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【テリー・天野のメンズ的映画評 第16回】

世界の巨匠&ハリウッドスターが描き出す、究極の倒錯愛の世界!!


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Photo by José Haro  (C)El Deseo

 美しき愛する妻をいわくつきの間男に寝取られ、さらには事故で全身やけどの重症を負わされ、あげく自殺にまで追い込まれてしまった形成外科医(アントニオ・バンデラス)。そんな事件のショックに加え、あるトラウマ級の大事件が元で狂気に囚われてしまった彼は、「人工皮膚の研究」という名目でひとりの女性を監禁し、自らの理想の女性を作り出すべく“実験”を施していく……。

 「いったいそれ、何てエロゲ?」と思ったあなた。これ、スペインが世界に誇る大巨匠監督、ペドロ・アルモドバルの最新作『私が、生きる肌』なんです。

 『オール・アバウト・マイ・マザー』(99年、外国語映画賞受賞)や『トーク・トゥ・ハー』(02年、脚本賞受賞)といったアカデミー受賞作を連発し、今や世界を代表する巨匠として名声を得たアルモドバル監督。『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)や『アタメ』(90)など、エキセントリックながらも美しさを漂わせる氏の諸作に、魅せられた人は多いかと思います。男性監督でありながら、女性的な視点で語られる物語が、彼の作品の特徴ともいえるでしょう。

 しかし、そんなアルモドバルの最新作は、いきなり冒頭から監禁シチュエーションのスタートです。しかも監禁される主人公のベラ(エレナ・アナヤ)は、肢体にピッチリ張り付いた変な全身タイツを着せられ、四六時中モニター監視下に置かれます。全身タイツ姿で、挑発的なヨガのポーズをキメる彼女の姿は、近年のアルモドバル作品には珍しく男目線のエロスをビンビン発してます。

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Photo by José Haro  (C)El Deseo

 いっぽう、彼女を監禁する外科医ロベルを演じるのが、アルモドバル映画には22年ぶりの出演となるアントニオ・バンデラス。今ではハリウッドスターとしての貫禄もついてきたバンデラスですが、かっての盟友アルモドバルのラブコールに応えての再登板です。

 なにより「ん、バンデラスがアルモドバル映画で監禁犯役!?」と感じる人もいるかもしれませんね。そう、バンデラスは過去『アタメ』で、女を監禁する偏執狂の男を一度演じているのです。

 といっても『アタメ』の時のようなストーカーとは違い、今回は地位も名誉もあるエリート医師役。そんな彼が狂気に近い人工皮膚の研究に没頭し、そのモルモットとしてベラを監禁。人工皮膚を移植することで、彼女を亡き妻と見紛うほどの美女へと作り替えていくのです。

 しかし、実はこのベラにも、物語の根幹を揺るがすような衝撃の事実が隠されてるのです。それは映画を核心に触れる展開なのですが、その事実によってよりロベルの狂気と、家族を失ったことによる彼の無念が浮き彫りとなっていきます。その様相は、ハリウッドを経て円熟の域に達したバンデラスと、かつての盟友アルモドバルによるアンサンブルの至芸ともいえる見せ場です。

 しかし、そんな彼らの歪んだ監禁生活ですが、一人の訪問者の手によって大きく一変するのです。

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Photo by José Haro  (C)El Deseo

 すべての狂気の源となったその人物が介入してくることで、ロベルとベラ、そして彼らを見守ってきた老メイドのマリリア(アルモドバル映画の常連、マリア・パレデス)は否応なしにある“決断”を迫られることになります。その決断により、ロベルとベラの関係に変化が訪れ、相容れなかったはずの被験者と研究者の関係が恋人同士へと変化していく……と言いたいのですが、そこからさらに物語は怒涛の展開を見せ、誰もが予想だにしなかった大どんでん返しへと突入するのです。

 いったいロベルとベラの歪んだ愛の結末とは? そしてベラに隠された謎とは???

 エロスとバイオレンス、過去と現在が入り混じり展開する情念と偏愛の物語。アルモドバルの原点回帰にして、同時にフィルモグラフィーの集大成とも言える本作は、アルモドバル好きはもちろんのこと、監禁フェチ、肉体改造フェチのあなたにも観てほしい一本です。
(文=テリー・天野)

『私が、生きる肌』
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット、ロベルト・アラモ、ブランカ・スアレス
製作年:2011年
劇場:TOHOシネマズシャンテ、シネマライズ他にて全国ロードショー
公開日:5月26日(土)
配給:ブロードメディア・スタジオ

『アタメ』


バンデラスの狂気っぷりは必見!

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