青木さやか離婚! 芸人として失ったものと得たもの

 青木さやかの離婚報道が各種メディアを賑わせている。とはいえ世間の反応はいたって冷静だ。たとえば、青木の離婚報道に寄せられているネット上のコメントは、「だろうね」や「まだしてなかったんだ」「もはや規定路線」といった類のものばかりが目立つ。いくら芸能人の離婚といっても、話題性に乏しければ、今の時代大した出来事ではないのかもしれない。しかし、本人にとっては結婚以上に人生の分岐となるのが離婚。世間様がいくら「規定路線だった」と鼻にかけなくても、青木自身にとっては大きな問題に違いない。まして女芸人である彼女にとっては、どうにかしてこの問題を笑いに変えたいところだろう。

 しかし、21世紀の女芸人の走りである彼女も、近年、特に結婚出産後は、そのなりをどこか潜めていた様子。2010年に女児を出産した後、企業イベントに出席した青木は、そんな自分を「キレなくなった」と振り返り、その理由を「アイドルや女子アナに腹が立たなくなっ」たからだと語っている。結婚や出産というものが、彼女の仕事にどういった影響を及ぼしたのかはわからないが、事実2007年の結婚を境に、彼女の仕事は激減。2005年から2006年にかけて、冠番組を含む延べ10本以上のレギュラーを抱えていた彼女も、現在は3本という状態だ。もちろん、レギュラー3本というのも立派な数字だが、一時の売れっ子具合を考えると少々寂しいのは否めない。

 「どこ見てんのよ!」や「ふざけないでよ!」というフレーズで、一躍人気を博した女芸人・青木さやか。自意識過剰気味に男性にキレながら、若く可愛いアイドルや女子アナに毒を吐く彼女は、ブスと美人の間という見事に普通の顔をしながら絶叫して、お茶の間に大きな笑いを届けた。しかし、そんな彼女も結婚出産を経ると、やはりいっぱしの母になるようで、自身も語っているように、絶妙に普通でありながらキレるという自分の芸を見失ってしまう。いくら芸人とはいえ、彼女も女だったのだろう。

 芸人としての武器を失った彼女は、その辺によくいる普通のママタレントとして活躍する。それは女芸人・青木さやかとの決別だったのだろう。いや、そうするしかなかったというほうが適切かもしれない。しかしもし彼女がママ芸人として活動することができたならば、活躍の場はさらに広がっていたのではないだろうか。ただ、それは土台無理な要求ともいえる。

 「女芸人は恋をすると面白くなくなる」とは、上沼恵美子がM-1の審査コメントでハリセンボンに向けて言った言葉である。歴戦の女芸人が言うのだから、まさにその通りなのだろう。さらにいえば、面白くない人間はもはや芸人ではない。女芸人とは恋をすることで芸人という身分を捨てざるを得ない存在なのだろう。そしてそれはアイドルに似ている。つまり、みんなの偶像であることによって存在価値を認められているアイドルは、誰かのものになった瞬間、アイドルから抜け出さざるを得ないからだ。女芸人とアイドルにおける、彼女たちの存在を肯定する条件は同じだ。

 しかし青木は離婚した。離婚したアイドルには、その性質上ファンが戻りにくいだろうが、面白ければなんでもいい芸人はまた別だ。まして他人の不幸は蜜の味なのだから、離婚という問題は、芸人にとっては「おいしい」とさえいえる。また、現状、ママ芸人という存在といえば、くわばたりえか出産を控えている山田花子くらいだろう。シングルマザー芸人という席には誰も座っていない。もしまた青木が以前のような怒りを取り戻すか、またはそれ以上の武器を手にしたのならば、今後彼女が大きく飛躍する可能性は高いだろう。そしてそこには誰も見たことのない笑いがあるはずだ。女優業を本格化させるという報道もあるが、離婚した青木には、ぜひシングルマザー芸人として立ち上がってほしい。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

『青木さやかの妊娠・出産・育児NOTE―はじめての育児体験フォトエッセイ』

 
シングルマザーの芸風は!?

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