【ニッポンの裏風俗】生駒新地

MCDSCF0057.jpg右は宝山寺へ、左は麓へ、このゲートの左右に石段が続く。
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 大きな神社仏閣と風俗街は、隣接して形成されていることが少なくない。その理由については諸説あり、寺の僧侶や坊主がこっそり遊びに行くためだとか、人が集まる門前町に商店や風俗が生まれるのは道理であるなど言われているがはっきりしていない。これにはかの司馬遼太郎も首を傾げていたようだ。

 そして、その門前町に根付いた風俗が現在へと継承されている街もある。浅草寺と吉原、花園神社と歌舞伎町しかりだが、奈良県にある生駒新地はその代表格であろう。

 大阪と奈良の県境に位置する生駒山には、商売繁盛の神様を祀る宝山寺という寺がある。参拝客は数多く、大阪、奈良の住民には『聖天さん』と呼ばれて親しまれている。

 生駒山の中腹にある宝山寺に参拝するには、途中までケーブルカーで登ることができるが、そこから先は参道の石段を自力で登ることになる。

 ケーブルカーを宝山寺駅で降りて歩き始めるとすぐに『観光生駒』と書かれたゲートがあり、そこから石段が始まるのだが、その石段沿いに並ぶ旅館こそが『生駒新地』と呼ばれる裏風俗なのだ。

 とても”ちょんの間旅館”とは思いがたいまったく普通の旅館の佇まいは、スケベ面さげて「遊べます?」などと尋ねれば、塩を撒かれそうな雰囲気。だが本当にここで遊べるのか? そして、こんな山の中にある旅館にはどんな女のコがいるのか、非常に気になるところではある。

 その中でもことさら立派な和風建築の旅館に入り、女将にシステムを聞いてみた。すると美人女将曰く、

「女のコは旅館に在籍しているわけではなくて、麓の生駒の町にある置屋からやって来ます。写真はないので、指名がない場合は好みのタイプに合いそうな女のコを選んでさしあげます。女のコは若くても30代前半からで、料金は120分2万7,000円。泊まりは21時からで、食事別で4万円」

 ということ。全ての旅館が風俗旅館かどうかは直接確認していないが、後で人妻に聞いたところでは、「ほとんど」と言っていた。

 せかせか慌ただしいちょんの間というよりは、癒し系の人妻とゆっくり逢瀬を楽しむ隠れ家という雰囲気。和室に布団敷きというシチュエーションは、若者よりは40代以降の男性に人気があるに違いない。

 そしてここのもうひとつの楽しみが風呂である。

 温泉や露天風呂があるわけではなく、さらに内風呂もないので利用するのは大浴場のみ。しかも、男女分けされていないので、人妻と一緒に入ることになるのだが、ということは、タイミングによっては他の部屋の客や人妻と混浴する可能性もあるということだ。

 数ある風俗の中でもこんなシチュエーションを楽しめる裏風俗は、生駒新地以外に見たことがない。非常に珍しい遊び方なので、是非ともタイミングを合せて混浴したいものだ。もっとも、女のコはイヤがるだろうが(笑)。

 風呂上がりのビールを飲みながら、山の中腹にある旅館の窓から見える生駒の街の夜景を美しんだあと布団に潜り込む。ゆっくり風呂に入っても時間は十分。泊まりの場合は女のコと生駒の街に降り、居酒屋で食事がてら一杯楽しむのもいい。あわてず急がず、人妻と2人、ゆったり大人の雰囲気を楽しむのが生駒新地の遊び方といえよう。

MCDSC01624.jpg泊まりで遊んだ翌朝の旅館の朝食。まるで2人の旅行気分だ。
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 ちなみに、石段の入り口から宝山寺境内までは石段を登って10分程度。お参りしてから遊ぶ方がご利益があるのでは。

 次回は全国のポン引き地帯を巡ってみよう。
(文=松本雷太/著書『超おいし~日本全国フーゾクの旅』宝島社)

【ニッポンの裏風俗 バックナンバー】
第1回 昭和初期にトリップしたかのような街並み、大阪・飛田新地
第2回 顔見せが無くても人気の新地…大阪五大新地
第3回 政治に翻弄された沖縄風俗
第4回 四国裏風俗ルポ 香川・徳島・高知
第5回 四国裏風俗ルポ・松山

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