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【テリー・天野のメンズ的映画評 第2回】

押井守最新作『ASSULT GIRLS』は海外エンタメ大作に匹敵する!!


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『ASSULT GIRLS』©2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

 押井守といえば、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95年)で『マトリックス』シリーズなど、世界中の映像作家に影響を与えたジャパニメーションの旗手......などと言われてますが、このサイゾーメンズ読者で押井作品を熱心に見てる人ってそれくらいいるんでしょう? っていうか"ジャパニメーション"って差別用語(ジャップ+アニメ)を未だ誇らしげに使ってるマスコミもどうよ?

 『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)や『機動警察パトレイバー the Movie』(89年)、近年では森博嗣原作の『スカイ・クロラ』(08年)を世に送り出し、宮崎駿御大や庵野秀明と並ぶ日本のアニメーション監督として活躍中の押井守。その華々しいフィルモグラフィーの大半は実は実写作品であり、後にコミックスやアニメーションなど幅広く世界観を展開した『紅い眼鏡』(87年)や、押井の個人的映画史観を描いた『トーキング・ヘッド』(92年)、全面ポーランド撮影を敢行して仮想世界での戦争を描いた『アヴァロン』(01年)といった作品をコンスタントに送り出している。最近では、テレビドラマ『ケータイ捜査官7』(テレビ東京系)でもメガホンをとるなど、キャリアを重ねている。まぁ元々東京学芸大学在籍時には実写映画志向で、自ら設立した自主映画サークルの後輩には平成『ガメラ』シリーズや『DEATH NOTE』(06年)の金子修介監督が在籍していたのも有名な話ですが。

 そんな押井監督が(単独では)『アヴァロン』以来8年ぶりにメガホンをとった長編実写作品が、今回紹介する『ASSULT GIRLS』だ!!

 舞台は〈アヴァロン(f)〉と呼ばれる仮想空間。いわゆるネトゲの世界だが、その中に集う名うてのハンター(現実世界じゃヒッキー、主婦等々)たち、"グレイ"(黒木メイサ)"ルシファ"(菊地凛子)"カーネル"(佐伯日菜子)の美女三人と、男性ハンターの"イェーガー"(藤木義勝)は、モンスター狩りでポイント稼ぎする毎日。やってることは、まぁ通勤電車でモンハンやってるサラリーマンやヲタ連中と何ら変わらない訳ですが、そこはそれ、映画ですから、ロケによる砂丘風景と、『ローレライ』(05)『日本沈没』(06)の佐藤敦紀が手がける重厚かつ流麗なVFX映画によって、まさに世界はリアルモンハンワールド!! ホント、「ネットは広大だわ」(by草薙素子)。

 そんな、"終わりのない日常が繰り返される世界"(上記の『ビューティフル・ドリーマー』等々、押井作品では頻繁に使われるモチーフでもある)の中、彼女らの前に立ちはだかるのが、最強のモンスター・マダラスナクジラ。これまで数多くのモンスターを倒してきたハンターたちにとっても個々で対応出来る相手でもなく、倒せば高ポイント確実にも関わらず、挑んでは敗北し続ける。まるで、皮のよろいでラスボスに挑むドラクエユーザーみたいな日々を過ごしていた訳だが、そんな彼女らの動向を上空から監視していたウェブマスターが、見るに見かねて「お前ら、パーティーを組んで倒せばええがな」と勧告。

 それぞれの思惑を含みつつ、パーティー結成を決意する女たち。当初乗り気でなかったイェーガーも、グレイとの実弾飛び交うシバキ合いの末、渋々狩りに参加する事を了承する。こうして、お互いバラバラな個性と特性を上手く活かしつつ、炎と弾丸乱れ飛ぶ最終決戦が遂に始まる!!

 終わりない日常の繰り返しに、『アヴァロン』の延長線上にある仮想戦場の世界観、登場人物の心情を代弁するようにゆるやかに流れる風景映像、哲学的な台詞回しや小ネタ的に登場する、妙にスノッブな小道具(作戦伝達用に登場する二宮金次郎像や、イェーガーがなぜか被ってるヤクルトスワローズの帽子など)、そして押井作品のアイコンとも言える"犬""鳥"等々、まさに押井イズムの塊のようなイコンが散りばめられた本作。それでいて"一見さんお断り"的な作品かと言えばそうでもなく、監督自身が本格的なアクションファンタジー作品を標榜しただけあって、スナクジラとの実弾飛び交う壮絶バトルは迫力、リアリティ共に海外の作品にタメを張るレベル!!

 それ以上に物語を飾り立てるのが、主演の美女3人!! グレイ役の黒木は、並みいる不良達相手に紅一点のシンガー役として活躍した『クローズZERO』(07年)『クローズZERO II』(09年)に、肉弾系バレエ少女役をハードに演じきった『昴』(09年)など、今や日本映画界の明日を背負って立つ女優として大回転で活躍中の彼女。来年公開の実写版『宇宙戦艦ヤマト』でもメインヒロイン、森雪役を演じる(しかもアニメのようなしとやかなタイプから一転、戦闘機乗り役だというからビックリ!!)など、邦画界の最前線で活躍する黒木が、全身グレーのバトルスーツに身を包み、男とのガチバトルも辞さないヒロインを演じる。沖縄育ちのクォーターらしいエキセントリックな顔立ちでアサルトライフルを構える姿は、"戦うヒロイン"好きなら必見のカッコ良さです!!

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黒木メイサ演じるグレイ。凛々しい。

 そんなグレイのライバルとしてお互い罵り合う仲のカーネル役には、短編『真・女立喰師列伝』(07年)に続いて押井作品に出演の佐伯日菜子。『毎日が夏休み』(94年)などで少女役のイメージが強かった彼女も、気がつけば三十路過ぎの人妻だ。大人の色気漂う魅力を伝えるかのように、真っ赤なボンデージ風衣装に身を包み、オートマチックライフルから巨大ロボットまで駆使してスナクジラを追い詰める暴れっぷりはまるで『攻殻機動隊』のヒロイン、草薙素子を彷彿とさせるよう!!

 そしてルシファ役を演じるのが、やはり押井監督の『スカイ・クロラ』で声優として出演済みの菊地凛子。『バベル』(06年)の女子高生役で日本人としては史上二人目のアカデミー賞候補となる名演技ぶりを発揮し、現在も世界中の映画監督からラブコールが送られる彼女演じるルシファは、押井作品の重要モチーフである鳥をイメージしたキャラクター。『スカイ・クロラ』で演じたヒロイン、草薙水素が重い運命を背負ったキャラクターだったのに対し、こちらの方は他のハンターたちが狩りに血眼を上げる中、一人我関せずとばかりに踊りまくりつつ、最終決戦には参加してポイント獲得のおこぼれを預かろうとちゃっかり参加するお気楽なキャラクターを伸び伸びと演じている。演技力の高さを見せつけながら、シリアスになりがちなストーリーの緩衝材としての役割もしっかりと果たしてます。

 そんな三人のヒロインが縦横無尽に暴れまくり、戦う女性の美しさを余すところなく魅せつける本作。押井監督自身、近年の作品ではそれまでの哲学的、観念的な作風から徐々にエンタテインメント性を意識した作品作りにシフトしつつあると、ことあるごとに宣言している通り、これまでの持ち味を維持しながら、しっかりと派手な見せ場を用意して明快なバトル物を目指した本作。これまでの押井映画を熱狂的に支持してきた人も、押井映画は初体験だという人も、そして戦う美女に興奮するというフェチな方にもお薦めの一本ですよ!!

 日本映画じゃ、まずお目にかかれない本格的アクションファンタジーとなった本作。これを見て興奮したという方は、登場人物達同様、仮想世界で"狩人"デビューするなんていかがでしょう? つっても熱中する余り、ホントに引きこもっちゃったり現実との区別がつかなくなったらアレですけどね。

(文=テリー・天野)

◆『アサルトガールズ
監督・脚本/押井守
出演/黒木メイサ、佐伯日菜子、菊地凛子 ほか
製作/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
制作/デイズ
配給/東京テアトル
公開/12月19日
劇場/テアトル新宿、池袋テアトルダイヤほか全国順次ロードショー 
©2009 八八粍・デイズ/ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

『ASSAULT GIRLS AVALON(f)』徳間書店


小説版も書き下ろしたとか

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