待ち合わせ場所は新宿アルタ前。まだ見ぬマナミちゃんの姿を想像しながら待っていると、ほぼ約束の時間通りに彼女らしき女性を発見。
ウホっ! いい女じゃねぇかッ!
スレンダー体型で小顔というプロポーション。顔は女優の田中美奈子が歌手活動していたころに似た感じ。性格がちょっとキツそうだが、大した問題ではなさそうだ。
顔の筋肉が緩みそうになったが、気を引き締めて表情をキープ。余裕のある大人の男性を演じるべく、優しい口調で語りかける。
「こんにちは、マナミちゃんだよね?」
「あ、はい。そうです」
「さっきサイトで約束させてもらったショーイチだよ。今日はよろしくね」
「あ! ショーイチさん。本当に貰った写真のまんまですね」
「うん。加工とかしてないから、まったく同じでしょ?」
「はい。安心しました!」
物怖じせず、ハキハキとしゃべるマナミちゃん。初対面の男性と会話することに慣れているのかもしれない。
「さっそくだけど、このままホテルに向かうってことでいいかな?」
「はい。もちろんです!」
出会える系サイトでの出会いというのは、即会い・即ハメが暗黙の了解となっている。喫茶店で茶をシバいたり、おしゃれなデートスポットを歩く必要はナッシング。ただセックスするための出会いなのだから、話が早くて簡単だ。
歌舞伎町を横断しながらホテル街に向かう最中、軽いノリで聞いてみることにした。
「マナミちゃんはよくこのサイトで遊んだりしてるの?」
「うーん、2、3か月に1回くらいですかね。たまぁに我慢できないくらいムラっときちゃうので…」
「ム、ムラっと?」
「はい。ショーイチさんはムラっときたりしないんですか?」
「そ、そりゃあ、俺もあるよ。っていうか、むしろ毎日ムラムラしてるよ」
「フフ、毎日ですか?」
「うん。でも、俺もサイトで遊ぶのは数か月に1回くらいかな?」
「それじゃ、私と同じですね」
「そ、そうだね」
肩を寄せ合いながら小声で会話するふたり。傍から見たらどこにでもいるような普通のカップルに見えたかもしれない。
しかし、ふたりの年齢差は32歳。初対面で今からセックスするためだけにホテルに向かっている状況だ。こんな事が許されるのは世界広しと言えど、この日本くらいなものだろう。
今の日本の礎を作り上げた先人たちにただただ感謝するばかりだ。
そうこうしているうちに、目的のラブホテルに到着。チェックインを終え、ようやく室内でふたりきりとなる。
手洗いとうがいを済ませ、ソファに座っておしゃべりを再開する。
「マナミちゃんはどんなエッチが好きなのかな?」
「い、いきなりですね」
「だって、エッチが好きって書いてたよね? 具体的にどんなエッチが好きなのか教えてほしいな」
「ふ、普通ですよ」
「普通じゃ分からないよ。せっかくの機会なんだから、正直に教えてよ」
「は、恥ずかしいですよ」
「駄目だって。どうせならマナミちゃんも気持ち良くならなきゃもったいないでしょ? だから、教えてほしいな」
「そ、そうですね。た、たくさん攻められるのが好きです」
「おっ! それじゃあ、俺と相性ピッタリだね」
「え?」
「俺はとにかく女性を攻めるのが好きなんだ」
「そ、そうなんですか」
「あ! でも安心してね。暴力的なのとかじゃないから。どちらかというと下僕のように女性に尽くすタイプなんだ」
「げ、下僕ですか?」
「うん。俺って精神的なMだから、尽くして尽くして尽くしまくりたいんだ」
「な、なんだか凄そうですね」
「でも、女性の嫌がることは死んでもできないから、そこだけは信じてほしいな」
「はい! それじゃあ今日は安心してショーイチさんにお任せしますね」
なかなかのノリだ。これならふたり仲良く気持ちよくなれそうだ。
まずマナミちゃんにシャワーを浴びるよう促し、入れ替わりで筆者もシャワーを浴びる。
そしてベッドルームに戻ると、彼女が煙草を吸っていた。それも、電子タバコではなく普通の紙巻煙草だ。
それまで喫煙者のような素振りが一切見られなかったので、これは意外だった。
しかし、その驚きを顔に出すような筆者ではない。何食わぬ顔して聞いてみることにした。
「煙草は何を吸ってるの?」
「これです」
マナミちゃんが見せてきたのはセブンスターのパッケージだった。
ここで「シブいの吸ってるね」と答えてしまってはあまりにも芸がない。きっと彼女は今まで何百回とそう言われてきただろうから。
「あ! 俺も昔はセッタを吸ってたよ」
今の若いコに“セッタ”と言っても通用しないだろうが、“セブンスター”を吸っているマナミちゃんなら通じるだろう。
「そうなんですか? 今は何を吸ってるんですか?」
ここからしばし煙草談義が始まってしまった。
一刻も早く彼女のマンコを舐めまわしたかったが、ここで焦っている姿を見せるわけにはいかない。
彼女の横に座り、筆者も煙草に火をつけて一服する。
その後、話がひと段落したところで、歯磨きを開始。しかし、マナミちゃんはススっとベッドに移動してしまった。
おいっ! 歯磨きしねえのかよッ!
突っ込みたくなる気持ちをググっと我慢。こちらの一方的な常識を押し付けるのはマナー違反だろう。
歯磨きを終え、室内の照明を少しだけ暗くしてベッドインとなった。