約束の10分前に到着した筆者は、付近の本屋で時間を潰すことに。そして5分ほどぶらぶらしてから「あと少しでアルタ前に到着します」とエマちゃんにメールする。
すると、「私もあと少しで到着します」との返信が届いた。大慌てで本屋を出てアルタ前に向かう。
おっ! もしかしてアレか?
メールであらかじめ聞いていた通りの服装をした女性を発見した。
長身でスレンダー体型のエマちゃん。マスクのせいで顔はハッキリ見えなかったが、人目を引くオーラを放っていたのだ。
クーッ! こういうのも大好物だぜ!
ロリ娘の低身長体型も好きだが、スラっとした長身体型にも目がない筆者。小走りで駆け寄りたくなるのをこらえ、ゆっくり近づく。
おおっ!
近づいて圧倒された。171センチの筆者より4、5センチは背が高かった。彼女に悟られないよう、足元を確認。ヒールのほとんどない靴だった。ということは素の状態でも筆者より背が高そうだ。
あぁぁぁぁぁンっ! 今すぐこのエマちゃんにご奉仕したいぃぃぃぃン!
Mっ気がフツフツと湧き上がってくる。
彼女の前に立ち、軽く会釈しながら声をかける。
「待たせちゃったかな? エマちゃんだよね?」
こちらがマスクをズラして顔を見せると、エマちゃんも同じようにしてくれた。
き、綺麗だぁぁぁぁぁぁ!!
タレントの大石絵理に似た感じの美女だ。若い頃はさぞかしモテたことだろう。否、四十路となったエマちゃんには、四十路なりの良さがある。今現在もモテまくっていてもおかしくない。
「あ、はい。ショーイチさんですよね? 今日はよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ、よろしく」
長身で美形なのでクールな印象を受けたが、ちゃんと笑顔で応じてくれたエマちゃん。
伊達に40年以上も生きているわけではなさそうだ。
「それにしても綺麗なスタイルだね」
背が高いことには触れず、ただ単にスタイルの良さを褒めてみる。
「背が高いだけですよ。キリンみたいって言われます」
「なに言ってるの。キリンなんて最高の褒め言葉じゃん。自然界の生き物の中で、キリンが一番セクシーでスタイルがいいんだからさ」
咄嗟にそう答える筆者。我ながらこの瞬発力の高さには驚いてしまう。考えるより先に口が動いてくれるのだ。
「フフ、そんな風に言われたの初めてですよ」
「そうなの? 俺は子供の頃からキリンみたいな体型の女性にずっと憧れてるんだ」
「変わってますね、ショーイチさんって」
「そんなことないよ。ブス専やデブ専でもないし、女性の好みはとってもノーマルだよ。だから、エマちゃんみたいに綺麗な女性を目の前にすると舞い上がっちゃうんだ」
「なんかすっごく褒めてくれますね」
「褒めてなんかいないって。俺は口下手のショーちゃんって言われてるんだから」
「えぇ、本当ですかぁ」
「うん! ただ正直に思った事を口にしているだけだよ」
「そういう事をさらっと言っちゃうのがお上手ですね」
「と、とりあえず俺はこんな感じだけど、大丈夫そうかな?」
「はい。もちろんです!」
満面の笑みで応えてくれるエマちゃん。こちらは天にも昇る気分になってしまった。
「じゃ、マスクを着け直してこのままホテルに向かおうか?」
マスクを再び装着して、歩き出す。そしてホテル街に到着し、無事にお目当てのラブホテルにチェックイン。
「あ! まず安心してね」
「え?」
「こうやって部屋でふたりっきりになっても、急に襲ったりしないからね」
「フフ、分かってますよ。ショーイチさん凄く優しそうだし、女性の扱いも上手そうですから」
「じ、上手かどうかは分からないけど、優しいのは間違いないと思うよ」
「ですよね? 顔にそう書いてありますよ」
「そ、そうかな?」
「はい。だから今、すごく安心してます」
筆者のこのツラが不細工なのは万人が認めるところだが、草食系のおとなしそうな不細工だというのが救いだ。
一皮むけば性欲モンスターみたいなドロドロとした本性が現れてしまうが、長年の出会える系サイト遊びのおかげでツラの皮が尋常ではないくらい厚くなっている。
そのおかげで、最後の最後まで“いい人”ぶるのが苦ではなくなった。やはり継続は力なりといったところだ。