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こんにちは、ユナさん。
都内の会社員、ショーイチ・39歳です。
さきほど、ユナさんの書き込みを見ました。
私もちょうどヒマしていたので、ユナさんとふたりで気持ち良くなりたいです。
優しいくらいしか取り柄のない私ですが、お互いに思いやるようなエッチが好きです。
今日は仕事が終わっているので、5分後でも数時間後でも待ち合わせできます!
あ!
お返事もらえたら、私の写メを送りますね。
それを見てもらってからで構わないので、検討してもらえたら嬉しいです。
では!
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いつもの定型メールを送信すると、ものの数分ほどで返信があった。
そこから数回ほどのメール交換を行い、あっさりと約束が成立。新宿アルタ前で待ち合わせすることとなった。
まだ見ぬユナちゃんのことを思いながら待っていると、ほぼ時間通りにそれらしき女性が近づいてくるのを発見。
体型は中肉中背といった感じで、可もなく不可もなしといった具合だ。そして肝心の顔は大きいマスクで隠れていてほとんど判別できなかった。
遠目から顔の良し悪しを見て、顔パスするか否かを決断することもできない。
こうなると不細工か否かの博打みたいなものだ。丁半博打の場合、当たりを引く確率は約5割ほどだ。しかし、出会える系サイト遊びの場合は、ハズレを引く確率が9割近くにもなってしまう。
だが、賽子を振らなければ決して当たりを引くことはできない。
とにかく大事なのは勝負から逃げるのではなく、イチかバチかの選択に身を投じることなのだ。
覚悟を決めた筆者は、ゆっくり近づき声をかける。
「こんにちは、ユナちゃんかな?」
「あ、はい。そうです」
確認が取れたところで、こちらのマスクをズラして顔を全部見せる。
「俺はこんな感じだけど大丈夫そうかな?」
「え?」
「もし無理そうだったら、ここでゴメンナサイしてもいいんだからね」
「あ、い、いえ。大丈夫です」
ここで一拍置く。
ユナちゃんもこちらの真似をしてマスクをズラしてくれることを期待していたのだ。
さあ、ズラせ、ズラせ!! お前もそのマスクに隠れている顔を晒せ!!
だが、こちらの祈りは届かなかった。こうなったら、今見えている部分だけで判断するしかない。
前髪は長めで顔の上半分すらよく見えない。辛うじて見えるユナちゃんの目は、かなり吊り上がっていた。いわゆるキツネ目というヤツだ。
ぐぬぬぬぬっ!
幼少の頃からキツネ目に嫌悪感を抱いている筆者としては、かなりの強敵となりそうだ。だが、たったそれだけで判断するのは危険だ。
たとえキツネ目であっても、女優の菜々緒のように美女の可能性も微粒子レベルながら存在しているはず。
それに、スタイルは中肉中背でコレといった欠点はなさそうな印象だ。この程度のことでいちいち顔パスしていたら、キリがないだろう。