「あっ、ごめん。ちょっと仕事のことを考えてただけだよ」
「そ、そうですか」
「あっ! 俺、こっちの方のバス停から帰るから、気をつけてね」
「えっ、あっ、はい」
「このまま真っすぐ歩いていけば、駅の方にでるからね」
ここで90度ターンし、ようやくひとりになることができた。
そのまま早足で最寄の喫煙所に向かい、一服する。
忘れろ! 忘れるんだショーイチ!
肉塊と一緒に過ごした時間を記憶から消し去るべく、磯山さやかと深田恭子を相手に3Pする自分を妄想する。
ムクムクッ。
フル勃起とまではいかなかったが、ムチムチの美女ふたりに囲まれた交尾を想像して愚息は素直に反応した。
よしっ! これをキープしたまま帰るぞ!
タバコを消し、股間を膨らませたまま帰途に着いた。
帰宅してから30分ほど経ったところで、スマホのメール着信音が鳴った。
ん? どのコからのメールかな?
セフレのひとりからか、はたまた以前再会を約束した女性の誰かか。期待しつつ、メールを確認する。
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今日はありがとうございました。
ショーイチさんみたいに優しくてカッコいい男性とエッチしたのは初めてでした。
また会ってくれたりしますか?
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差出人は、記憶から消去したはずのリカちゃんだった。サイト経由で連絡してきたのだ。
せっかく磯山さやかと深田恭子のふたりによって悪夢のような記憶が上書きされていたのに、振り出しに戻された感じだ。
優しくてカッコいいと褒められて嫌な気持ちにはならないが、だらしない肉塊が強烈すぎて前向きにとらえることができない。スマホケースを閉じ、そのメールを見なかったことにした。